◎アンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、3月14日に行われた2つの州議会選挙で左派政党に敗れた。
報道によると、ドイツのアンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、3月14日に行われた2つの州議会選挙で左派政党に敗れる可能性が極めて高いという。
CDUは新しい国家元首を決める9月26日の総選挙に向けバーデン・ヴュルテンベルク州とラインラント・プファルツ州の議会選挙に臨んだが、厳しい現実に直面している。なお、9月26日までの間に計6つの州で議会選挙が行われる。
ドイツを16年間力強く牽引してきたメルケル首相は政界引退を決めている。
ドイツの市民はコロナワクチン接種の遅れに不満を漏らしており、さらに、厳格なロックダウンが終了する見通しは立っていない。そしてメルケル党は先日、マスクの早期調達における企業との取引で所属議員2名が利益を上げたという申し立てに直面し、支持率を落としていた。
出口調査に基づくドイツ公共放送連盟(ARD)と第2ドイツテレビ(ZDF)の予測によると、2つの州の第一党はほぼ確実に左派政党で、CDUの議席獲得数はバーデン・ヴュルテンベルク州は約23%、ラインラント・プファルツ州は約27%にとどまるという。
バーデン・ヴュルテンベルク州は「緑の党」、ラインラント・プファルツ州は「社会民主党」が第一党になる見込み。
CDUのパウル・ツィーミアク書記長は声明で、「厳しい結果になることは確かです。私たちはもっと良い結果を望んでいました」と述べた。
ドイツ国民は現職のメルケル首相に絶対の信頼を寄せているが、同氏のいないCDUには期待を寄せていないことが今回の選挙で明らかになった。
バーデン・ヴュルテンベルク州はドイツで唯一の「緑の党」の知事であるウィンフリート・クレッチュマン州首相が支配しており、約10年中道支持者の人気を集めてきた。なお、クレッチュマン州首相は2016年からCDUと連立政権を組んでいるが、新しい政党と同盟を組みなおす可能性もある。
緑の党の全国共同リーダーを務めるロベルト・ハーベック氏は声明で、「(9月の)総選挙に向けた素晴らしいスタートを切ることができました。2つの州で得た結果は次の州議会選挙に勢いをもたらすでしょう」と述べた。
左派の社会民主党はラインラント・プファルツ州を30年間率いている。
中道右派のCDUはメルケル首相の後任にアルミン・ラシェット氏を選んだが、スタートで大きくつまづいた。
報道によると、多くの市民がコロナの影響で郵便投票を選択しており、2週間前に発覚した議員2名のマスクスキャンダルが投票にどの程度影響を与えたかは分からない。なお、渦中のニコラス・レベル議員とキリスト教社会同盟(CSU:CDUと連立)のゲオルグ・ヌスライン議員はどちらも離党している。
連立政権を組むCDUとCSUは、コロナウイルス対策で圧倒的な支持を集めたメルケル人気の恩恵を受け、最新の全国世論調査では緑の党と社会民主党をリードしていた。
CSUは抜群の知名度を誇るバイエルン州のマルクス・ゼーダー州首相を総選挙に送り込む予定である。
政治学者のカール・ルドルフ・コルテ氏は第2ドイツテレビ(ZDF)のインタビューの中で、「ラシェットの知名度は低い」と指摘した。
「ラシェットは連邦レベルではほとんど知られていません。市民はカリスマ的なリーダーを求めています。CDUは戦略を練り直すべきです」
社会民主党の首相候補であるオラフ・ショルツ財務相は声明で、「私たちはCDUなしで政府を形成できると確信しました」と述べた。