ドイツ政府「フランスとの”核抑止力”協議、初期段階」
専門家は、現段階での協議が具体的な軍事力の共同保有へ直ちに発展する可能性は低いと見ているが、欧州安全保障政策の長期的見直しに向けた大きな一歩になるとの見方もある。
とフランスのマクロン大統領(AP通信).jpg)
ドイツ政府は16日、フランスとの間で「核抑止」に関する協議を続けているが、現時点では初期段階にあると明らかにした。首相府の報道官は記者会見で、メルツ(Friedrich Merz)首相とマクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が核抑止力の協力について話し合っているものの、具体的な計画や決定には至っていないと説明した。
また報道官は現在の協議について、「欧州の安全保障体制を見直し、強化するためのものであり、米国の核抑止力の役割を弱めたり置き換えたりする意図はない」と強調した。さらに「今回の話し合いは米国の”核の傘”を補完、強化するためのもので、現状の枠組みを変えるものではない」と述べ、「米国は引き続き北大西洋条約機構(NATO)における核抑止の中心的存在だ」とした。
この協議の背景には、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や地政学的な不安定化に対する欧州の懸念がある。欧州諸国は伝統的な安全保障体制の見直しを迫られており、核抑止力をめぐる議論も活発化している。特にフランスはEU内で唯一の核保有国として、核抑止力の重要な役割を担っているため、協議の中心的な存在となっている。
メルツ氏は先週のミュンヘン安全保障会議で、フランスとの間で欧州の核抑止力について「極秘協議」を行っていると述べたが、具体的な設計や体制はまだ議論の初期段階にあることを確認している。同時にNATOの核共有体制や米国との協力関係を維持する姿勢を強調し、欧州内で安全保障に格差が生じないようにする考えを示していた。
仏独両国間の協議には、核抑止力のあり方や共同防衛の枠組みをどう構築するか、また欧州の同盟国をどのように巻き込むかといった課題が含まれる。ただし、これらはまだアイデア段階であり、公式な合意や法的な枠組みの設定には時間を要する見通しだ。報道官は「現時点では具体的な決定はなく、協議は探索的な性格を持つ」と語った。
欧州側では米国の安全保障政策が変動する中で、より自主的な防衛能力の検討が進んでいる。この動きは、イギリスがEUを離脱した後、仏独が欧州安全保障の新たな主導的役割を果たす可能性を示すものでもある。しかしEU内外からは、NATOや米国との連携を維持しつつ欧州独自の抑止力をどう位置づけるかという複雑な課題が指摘されている。
専門家は、現段階での協議が具体的な軍事力の共同保有へ直ちに発展する可能性は低いと見ているが、欧州安全保障政策の長期的見直しに向けた大きな一歩になるとの見方もある。フランス側も核抑止力について「総合的アプローチ」の必要性を訴えており、両国の対話は今後の欧州の安全戦略に影響を与える可能性がある。
