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ドイツ首相、トランプ関税違法判決に言及、期待と不透明感

メルツ氏は地元テレビ局のインタビューで、この判決がドイツ経済にとって一定の救済をもたらす可能性があると述べ、「負担は軽減されると期待している」と語った。
2025年8月13日/ドイツ、北部ブレーマーハーフェンの港(ロイター通信)

ドイツのメルツ(Friedrich Merz)首相は21日、トランプ政権の関税をめぐる最高裁判所の判決を受けて、ドイツ企業への負担が軽減されるとの期待を表明したものの、今後の不透明感はいまだ強いと警告した。これは米最高裁がトランプ(Donald Trump)大統領の関税措置の大部分を違法と判断したことを受けた発言である。

メルツ氏は地元テレビ局のインタビューで、この判決がドイツ経済にとって一定の救済をもたらす可能性があると述べ、「負担は軽減されると期待している」と語った。しかし同時に、関税政策を巡る先行きの不透明さが欧州と米国双方の経済にとって「最大の毒」との認識を示し、「この不確実性は終わらせなければならない」と強調した。

最高裁の判断はトランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠として世界各国の輸入品に課していた関税措置を無効とするもので、これまで多くの企業が高い関税に苦しんできた。判決を受けて欧米の企業や業界団体からは歓迎の声も上がっているが、取引条件の見直しや還付手続きの複雑さなど、解決すべき課題も多い。

メルツ氏は今後、EU加盟国と緊密な連携を図りつつ、ワシントンDC訪問時に共通の立場を示したい考えを示した。また関税政策は個々の加盟国ではなくEU全体の問題であるとの立場を強調し、欧州が統一したメッセージで臨む必要性を訴えた。さらに、ドイツ企業が還付を受けるためには米側との直接交渉が不可欠であるとの認識も示した。

一方で、今回の判決はすべての関税を一掃したわけではなく、自動車や鉄鋼、アルミニウムなど特定の分野に対する関税は依然として継続している。またトランプ氏は最高裁判断を受けて、新たに全世界を対象とする一律の輸入関税(10%)を段階的に引き上げる意向を示し、これが欧州企業に新たな負担をもたらす可能性も指摘されている。

EU側でもフランスや他の加盟国から、米国の新たな関税措置に対抗するための手段を準備しているとの発言が出ており、EU全体で貿易政策を巡る対話と対応が進められている。こうした動きは米欧関係に新たな緊張をもたらすとの見方もあり、両地域間の経済協力を維持しつつ、公正な貿易環境を確保するための協議が続く見通しだ。

メルツ氏の発言は、ドイツ国内や欧州の輸出企業に一定の安心感を与える一方で、米国との貿易交渉が次の段階へと移行する中、実際の関税負担や企業の見通しがどのように変化するかは依然として見通せない状況を映し出している。今後の交渉や政策調整がドイツ経済だけでなくEU全体の対米貿易関係にとって重要な局面となることは間違いない。

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