◎強国ドイツを4期16年率いてきたメルケル首相は、まもなく30年の政治キャリアに終止符を打つ予定である。
9月24日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はキリスト教民主同盟(CDU)の選挙集会に参加し、次期首相候補であるアルミン・ラシェット党首を売り込んだ。
強国ドイツを4期16年率いてきたメルケル首相は、まもなく30年の政治キャリアに終止符を打つ予定である。
ドイツ連邦選挙の投票日は9月26日。ポリティコ社の世論調査によると、オラフ・ショルツ財務相率いる社会民主党がキリスト教民主同盟(CDU)をわずかに上回っている。
ポリティコ社の世論調査:9月23日時点>
・社会民主党:25%(2週間前と同じ)
・CDU:22%(2週間前から1%↑)
・緑の党:16%(2週間前から1%↓)
・自由民主党:11%(2週間前から2%↓)
・ドイツのための選択肢:11%(2週間前と同じ)
・左翼党:6%(2週間前から1%↓)
党として初めて公式に首相候補を擁立した緑の党は、大連立で主要な役割を演じる可能性が高い。世論調査の結果がそのまま投票に反映されれば、初の閣僚誕生は間違いないと予想されている。
メルケル首相は2017年の選挙で41.5%(院内会派を組むキリスト教社会同盟が7.4%)を獲得し、社会民主党と連立を組んだ。今回も同様の流れになると予想されているが、緑の党の動き次第で連立の形は変わる可能性がある。
専門家によると、今回の選挙は前回より予想が難しく、特に若い有権者は未知の候補者に戸惑う可能性が高いという。
ライプツィヒ大学の政治学者ヘンドリック・トレーガー教授はAP通信の取材に対し、「今回の選挙は前回よりはるかにスリリングである」と語った。「有権者はメルケル首相とタッグを組む相手に投票してきましたが、今回は違います...」
ソーシャルメディアには今回もメルケル首相に投票するという投稿が多数寄せられている。ミュンヘンで地元メディアの取材に応じた若い男性は、「今回もメルケル首相が勝つだろう」と述べた。「私はメルケル首相に投票します...」
欧州最大の工業都市であるノルトライン・ヴェストファーレン州とCDUを率いるラシェット党首は有権者の支持を集めることに苦労した。
世論調査会社フォルサは記事の中で、「最大の問題は、有権者がメルケル首相の支持を得たラシェット氏に投票するかどうかです」と述べた。「ラシェット氏を認めない有権者は投票を棄権しますか?それとも別の党を選びますか?いずれにせよ、メルケル首相はもういません」
一方、ショルツ財務相はメルケル政権の閣僚としてコロナ禍の雇用維持に成功したという実績を宣伝し、支持率を伸ばした。
ショルツ財務相はケルンの選挙集会で、「私たち(社会民主党)はコロナウイルスがもたらした危機を回避することに成功しました」と支持者に呼びかけた。「私たちは中小企業に多額の資金を投入し、ドイツ経済を救いました...」
ショルツ財務相は最低賃金の引き上げと高所得者に対する増税を求めており、先日行われたテレビ討論会の中では、「金持ちに対する免税が国の経済を回していると主張する人は、財政を何も理解していない」と述べた。
CDUと院内会派を組むキリスト教社会同盟は、高所得者に対する増税は経済が回復するほど逆効果になると主張している。ラシェット党首は24日の集会で、「コロナ禍の増税はドイツを間違った方向に導くだろう」と述べた。「社会民主党は官僚主義、増税、えこひいきなど、80年代の古い社会主義を推進しています」
メルケル首相は、「ドイツの力を維持するためには、アルミン・ラシェットを首相に据え、CDU主導の政治を行わなければならない」と訴えた。
デュッセルドルフで集会を開催した緑の党のアンナレーナ・ベアボック党首は、公約の柱である気候変動対策を追及し続けると述べた。「この選挙でドイツの進む道が決まります。この選挙は気候変動選挙と呼んでも過言ではありません」
ベアボック党首は炭素価格を引き上げ、予定より早く石炭火力発電の使用をやめると誓った。
ドイツ議会議事堂前の広場で24日に開催された気候変動に関する集会には数万人が参加したと伝えられている。集会には世界で最も著名な気候活動家のグレタ・トゥーンベリ氏も参戦し、参加者から喝采を浴びた。
スウェーデン国民のトゥーンベリ氏はベルリンの気候活動家に対し、「私たちは変化を要求します」と訴えた。「私たちは好転させることができます。皆さんの一票は選挙に大きな影響を与えます...」
子供と一緒に参加したクリスチャン・コエッター・リエッツ氏はAP通信の取材に対し、「温室効果ガスの排出量により厳しい制限を求めている緑の党に投票する」と述べた。「私たちの世界は燃えています。水害、山火事、竜巻、これらの自然災害は地球が発する最後の警告です」