ドイツ議会下院、移民の「家族再統合」停止法案を可決

ドイツは現在、約38万8000人の移民に「保護資格」を付与している。これはより多くの優遇措置を受けられる難民認定とは別物だが、母国に戻った場合に命の危険にさらされる人々に付与されている。
2025年6月27日/ドイツ、首都ベルリンの連邦議会下院(ロイター通信)

ドイツの連邦議会下院(定数630)は27日、難民認定資格を満たさない移民の家族再統合を一時停止する法案を賛成多数で可決した。

これは保守派の選挙公約である移民抑制と統合システムへの圧力を軽減する措置を履行するものである。

移民問題は2月の連邦議会選挙の主要議題となり、反移民・反イスラムを公約に掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の大躍進につながった。

ドイツは現在、約38万8000人の移民に「保護資格」を付与している。これはより多くの優遇措置を受けられる難民認定とは別物だが、母国に戻った場合に命の危険にさらされる人々に付与されている。

この資格を受けている移民の大半がシリア人である。

ドブリント(Alexander Dobrindt)内相は採決に先立ち、演説で、「特に教育、保育、住宅分野におけるドイツの統合能力は限界に達しているため、この法案が必要である」と述べた。

またドブリント氏は「移民の受け入れには制限が必要である」と強調した。

この法案が成立すれば、保護資格を持つ移民は母国に住む家族をドイツに連れてくることができなくなる。

上院は来月、法案を採決する予定だ。

ドイツでは移民による重大事件が相次いでいる。

西部ゾーリンゲンでは昨年8月、イスラム国(ISIS)に忠誠を誓ったとされるシリア国籍の男が市民を次々に襲い、3人が死亡、8人が負傷した。

政府はこの事件後、国内すべての国境検問所の警備を強化した。

それ以降も移民による事件が相次ぎ、AfDの支持率を押し上げた。

AfDは2月の議会選で第2党に躍進。最新の世論調査では与党・キリスト教民主同盟(CDU)を上回っている。

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