▽マスク氏は昨年11月にショルツ連立政権が崩壊した時、ショルツ氏を「愚か者」と呼んだ。
ドイツのショルツ(Olaf Scholz)首相は4日、米国の実業家マスク(Elon Musk)氏が極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明したことについて、「大金持ちの実業家がAfDのような組織を支持していることを心配している」と述べた。
ショルツ氏は地元紙シュテルンのインタビューで、マスク氏の批判的なコメントに対しては「冷静」であるとしながらも、トランプ次期政権の閣僚候補がAfDのような組織を支持し、ドイツの総選挙に関与しようと努力していることを憂慮していると強調した。
マスク氏は昨年11月にショルツ連立政権が崩壊した時、ショルツ氏を「愚か者」と呼んだ。
またマスク氏は日曜紙ヴェルト・アム・ゾンタークの論評でAfDへの支持を表明。AfDを「最後の希望」と評し、「ドイツを救えるのはAfDだけだ」と書いた。
ドイツでは2月23日に連邦議会選挙が行われる。最新の世論調査によると、AfDの支持率は18~21%で推移し、中道右派の最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ2位につけている。
ショルツ氏はインタビューの中で、「社会民主主義政治を認めず、自分の意見をためらわない金持ちのメディア企業家による批判は何も新しいものではない」と述べた。
またショルツ氏は「冷静でいなければならない。私は、マスクがAfDのような組織を支持していることの方が、侮辱よりもはるかに心配だ」とした。
AfDは2013年に発足した極右政党で、過去の党首は過激な政策を掲げ、情報機関の監視対象になっている。2014~15年のシリア難民危機時には移民に対する批判を利用して支持を集め、2017年に連邦議会に進出した。
AfDの支持率は堅調に推移しているが、他政党はAfDとの連携を拒否しているため、ワイデル(Alice Weidel)党首が首相に就任する可能性は低い。