◎人口減に悩まされている多くの先進国が優秀な移民の確保に乗り出しており、獲得競争が激化している。
ドイツ連邦議会は23日、労働力不足解消に向け、熟練技能を持つ移民労働者を積極的に受け入れる法案を賛成多数で可決した。
法案は賛成388-反対234(棄権31)で可決・成立した。
この法案はカナダなどで採用されている制度にならい、職業経験などを考慮したポイント制を導入することを想定している。大学を卒業していなくても法律で定める専門技能・資格を持つ移民の入国規制を緩和する予定だ。
3月29日以前に入国した亡命希望者で資格と内定の両方を持つ者は亡命申請を取り下げれば、専門職として滞在許可を得ることができる。
さらに高度な技能を持つ自立した移民はより多くの親族を連れてくることが許可される。
ドイツはEU圏外から熟練労働者を呼び込む取り組みを何年も前から続けている。
ドイツ通信社(dpa)は専門家の話しとして、「高齢化に伴う労働人口の減少を補うためには、熟練技能を持つ移民を毎年40万人確保する必要がある」と伝えている。
連邦労働局が今月初めに公表したデータによると、調査対象となった約1200の職業のうち、昨年は200の職業で人手不足が発生し、前年の148から増加したという。
バスの運転手、ホテルやレストランなどのサービス業、金属加工業などがそのリストに追加された。介護、保育、建設業、自動車技術、運送業、建築、薬剤、情報技術部門などが慢性的な人手不足に悩まされている。
フェーザー(Nancy Faeser)内務・国家相は議会演説で、「熟練労働者の不足はドイツの経済成長を妨げる要因のひとつであり、それはいたるところで不足している」と述べ、この法案を「必要不可欠」と評価した。
一部の右派はスキルを持たない移民やドイツ語を話せない移民が入国を許可されている現状について、「法案は穴だらけであり、ドイツ語を入国許可の条件に加えるべきだ」と批判している。
ある右派議員はSNSにこう投稿している。「政府が入国を認めた移民の中で熟練技能を持つ者はごくわずかだ...」
人口減に悩まされている多くの先進国が優秀な移民の確保に乗り出しており、獲得競争が激化している。