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ドイツ25年9月インフレ率2.4%、今年2月以来の水準に

5年9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%増、2カ月連続で前月を上回り、今年2月以来の水準となった。
ドイツ、首都ベルリンの連邦議会議事堂(Getty Images)

ドイツ連邦統計局が9月30日、最新の経済統計を公表した。

それによると、25年9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%増、2カ月連続で前月を上回り、今年2月以来の水準となった。

ロイター通信のエコノミストは2.1~2.2%増と予想していた。

25年第2四半期(4~6月)の経済成長率は前期比で0.3%減であった。

コロナ禍以降、ドイツ経済は大きな変動に直面してきた。パンデミック初期の2020年には、ロックダウンや移動制限により経済活動が大きく停滞し、GDPは前年比で約4.6%減少した。特に、自動車産業や機械工業といった輸出主導型の産業が深刻な打撃を受けた。政府は大規模な経済対策を講じ、短時間労働制度を活用することで失業率の急増を抑えた。

2021年から2022年にかけては、ワクチンの普及とともに経済活動が徐々に回復し始めたが、世界的なサプライチェーンの混乱や原材料不足が製造業の足を引っ張った。加えて、2022年にはロシアのウクライナ侵攻が発生し、エネルギー価格の高騰やロシア産天然ガスの供給停止がドイツ経済に新たな打撃を与えた。これによりインフレ率は急上昇し、エネルギー安全保障と産業構造の転換が急務となった。

政府は脱ロシア依存を目指し、再生可能エネルギーの拡大やLNGターミナルの建設を急いだ。一方で、企業活動にはコスト増という形で負担がかかり、中小企業を中心に経営の厳しさが増した。インフレ抑制のために欧州中央銀行(ECB)が利上げに踏み切ったこともあり、消費と投資の双方が鈍化した。

2023年から2024年にかけては景気回復の兆しも見えたが、成長率は鈍く、ドイツ経済の「欧州の成長エンジン」としての地位には陰りが見えている。特に中国経済の減速と米欧の保護主義的傾向が輸出依存のドイツには逆風となっている。また、労働力不足や脱炭素への対応、デジタル化の遅れといった構造的課題も山積しており、長期的な成長戦略の見直しが求められている。

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