▽ドイツでは来年2月23日に連邦議会選挙が行われる。
ドイツ政府は30日、米国のマスク(Elon Musk)氏が極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明したことについて、「政党支持の自由であり、政府としてあれこれ言うつもりはない」と述べた。
日曜紙ヴェルト・アム・ゾンタークは29日にマスク氏の論評を掲載。同紙がマスク氏の論評を掲載したのは今月2回目である。
マスク氏はその中でAfDを「最後の希望」と評し、「ドイツを救えるのはAfDだけだ」と書いた。
首相府の報道官は「次期米政権の閣僚候補、世界一の大富豪であるマスク氏がドイツの総選挙に影響を与えようとしていることをどう思うか?」という記者の質問に対し、「政党支持の自由と表現の自由にはナンセンスも含まれる」と答えた。
また報道官は「この騒動についてこれ以上発言するつもりはないし、興味もない」と述べる一方、「マスク氏は自分の発言を通して選挙に影響を与えようとしているのは事実だ」と強調した。
さらに、「AfDは現在、情報機関の監視下にある」と指摘。「いくつかの州はAfDを右翼過激派に認定している」と述べた。
ドイツでは来年2月23日に連邦議会選挙が行われる。最新の世論調査によると、AfDの支持率は18~21%で推移し、中道右派の最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ2位につけている。
ヴェルト・アム・ゾンタークのオピニオン面の編集長は29日、マスク氏の論評に抗議し、辞表を提出したと明らかにした。
AfDは2013年に発足した極右政党で、過去の党首は過激な政策を掲げ、情報機関の監視対象になっている。2014~15年のシリア難民危機時には移民に対する批判を利用して支持を集め、2017年に連邦議会に進出した。
AfDの支持率は堅調に推移しているが、他政党はAfDとの連携を拒否しているため、ワイデル(Alice Weidel)党首が首相に就任する可能性は低い。