◎デモ隊は与党「ジョージアの夢」が前日、EU加盟交渉の中断を決めたことに憤慨し、国会前に集結。2夜連続で警察と衝突した。
2024年11月29日/ジョージア、首都トビリシの国会前、政府与党に抗議する人々と機動隊(AP通信)

ジョージア・トビリシの国会前で政府与党に抗議するデモ隊と警察が衝突し、43人が逮捕された。現地メディアが29日に報じた。

デモ隊は与党「ジョージアの夢」が前日、EU加盟交渉の中断を決めたことに憤慨し、国会前に集結。2夜連続で警察と衝突した。

現地メディアによると、警察は放水砲、唐辛子スプレー、催涙ガスを使用し、デモ隊を追い払ったという。内務省は43人を逮捕したと報告している。

デモ隊は29日の夕方、再び国会前に押し寄せ、議事堂前の金属ゲートを壊そうとする者もいた。機動隊は放水銃でデモ隊を建物から遠ざけ、その後、市中心部の大通りまでデモ隊を後退させた。

デモ参加者の中にはゴミ箱やベンチを使ってバリケードを築こうとする者もいた。

黒海沿いの港町バトゥミでもデモ隊と警察が衝突した。

選挙管理委員会は10月26日に行われた議会選(一院制、定数150)の結果を認定し、ジョージアの夢の勝利が確定した。

野党は票が操作されたと主張し、支持者に抗議デモを行うよう呼びかけている。

今回の議会選はジョージアが「本気で」EU加盟を目指すかどうかを決める国民投票と位置づけられていた。

野党とズラビシュヴィリ(Salome Zurabishvili)大統領の呼びかけに応じた有権者たちは大規模な抗議デモを展開。野党が国会をボイコットする事態に発展した。

ズラビシュヴィリ氏は28日、EU加盟交渉の一時中断を非難し、「政府が自国民に宣戦布告した」と嘆いた。

ズラビシュヴィリ氏は29日の演説で警察に対し、デモ隊に武力を行使しないよう呼びかけた。

またズラビシュヴィリ氏は与党がロシアの助けを借りて選挙を操作したと主張した。

政府がEU加盟交渉の中断を決める数時間前、欧州議会はジョージアの議会選を「自由でも公正でもない」と非難する決議を賛成多数で採択した。

ジョージアはロシアによるウクライナ侵攻後、EUへの加盟を申請。しかし、EUはジョージアの夢が物議を醸す反スパイ法を法制化したことを受け、加盟交渉を停止、財政支援の一部を凍結した。

米政府もこの法律を受け、数十人の政府高官を制裁リストに追加した。

ジョージアの夢は9月初めにLGBTQ+(性的少数者)の権利を侵害する「反LGBTQ法案」を成立させた。

コバヒゼ(Irakli Kobakhidze)首相はロシア寄りの姿勢を示しながらもEUとNATOへの加盟を目指している。

ジョージアとロシアの関係は2008年の南オセチア紛争で崩壊。ロシアはこの紛争で南オセチアとアブハジアの分離主義勢力を支援し、ジョージアを3分割した。

それ以来、ロシア軍の支援を受ける分離主義者がこの両地域を実効支配している。

両地域はジョージアからの独立を一方的に宣言。ロシアはこれを承認したが、国連は認めていない。

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