◎EUの主要指導者はマクロン大統領の当選に安堵した。
フランスのマクロン大統領は24日、極右のル・ペン党首を下し、再選される見通しとなった。
これで、ロシア・ウクライナ戦争の真っただ中に、EUで唯一の核保有国であるフランスの大統領に親プーチンの極右指導者が就任するという異常事態は回避された。
EUの主要指導者はマクロン大統領の当選に安堵した。
一方、極右のハンガリーやポーランドの首脳はガッカリしたと伝えられている。
主要メディアは出口調査の結果を一斉に報じ、マクロン大統領は57~58%、極右の火付け役であるポピュリストのル・ペン氏は41~43%を獲得する見通しと報じた。
ル・ペン氏はすぐに敗北を認めたが、過去最高の成績を収めたことに満足し、支持者に感謝した。
マクロン大統領は演説で、「多くの有権者が極右の民族主義者を排除するために投票した」と認め、「疑念と分裂に満ちた国を再統一し、ル・ペン氏に投票した極右支持者の怒りを鎮める」と誓った。
マクロン大統領は「誰一人置き去りにしない」と約束し、エッフェル塔前に集まった支持者に手を振った。
ル・ペン氏は選挙期間中、EU、NATO、そしてドイツとフランスの結びつきを弱めることを公約に掲げていた。この公約は、第二次世界大戦以来最悪の戦争に対処する欧州の安全保障構造を揺るがすものだった。
またル・ペン氏は対ロシア制裁に反対し、多くの批判に直面した。ル・ペン氏は2014年のクリミア併合を支持し、国民連合はプーチン大統領とつながりのあるマネーロンダリング銀行に借金をしている。
フランスは現在、西側諸国の対ロシア制裁で主導的な役割を果たし、ウクライナに兵器と支援を提供している。
EUの首脳はマクロン大統領の勝利を称えた。
スペインのサンチェス首相は、「民主主義の勝利、欧州の勝利」と声明を発表した。
欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は「共にフランスと欧州を前進させよう」とツイートした。
イタリアのドラギ首相は、「マクロン大統領の勝利は全欧州にとって素晴らしいニュースである」と述べた。
選挙管理委員会によると、開票作業はほぼ完了し、マクロン大統領が有効票の58.5%、ル・ペン氏が41.5%を獲得した。
<仏大統領選決選投票 開票率100%>
▽マクロン 18,779,812票(58.55%)
▽ル・ペン 13,279,729票(41.45%)
これでマクロン大統領は2002年のシラク元大統領以来、20年ぶりに再選を果たした仏大統領になった。シラク氏はル・ペン氏の父に圧勝している。
ル・ペン氏は結果を「輝く勝利」と呼び、支持者に謝意を表した。「私はこの敗北に希望を感じずにはいられません」
極右政党が決選投票で40%以上を獲得したのは初めて。ル・ペン氏は2017年の決選投票でマクロン大統領に66ー34で敗れ、父親はシラク氏に60%以上の差をつけられた。
ル・ペン氏と10日の第1ラウンドで敗れた急進左派のメランション氏は、すでに6月の議会選挙に焦点を合わせている。
メランション氏は24日、マクロン大統領を足止めするために過半数を獲得しなければならないと支持者に訴えた。
ル・ペン氏も国民のために働くと約束し、極右支持者により一層の支持を呼びかけた。
ル・ペン氏の善戦は国民連合の極右政治を受け入れやすくする長年の努力の賜物といえる。
ル・ペン氏は低中所得者層の生活を改善すると約束し、格差や雇用問題に不満を持つ農村地域や工業地帯のブルーカラーの支持を集めた。
ル・ペン氏に投票したという女性はAP通信の取材に対し、「給料、税金、年金といった日常生活を優先してくれる大統領を望んでいるため、ル・ペン氏に投票した」と語った。
マクロン大統領の支持率の低下は厳しい戦いが待ち受けていることを示唆している。左派と極右支持者は未知数だった2017年に比べ、今回のマクロン大統領の取り組みと政策は説得力に欠けると指摘している。
左派支持者は中道のマクロン大統領にもル・ペン氏にも共感できず、苦悩している。ル・ペン氏の当選を阻止するためだけにしぶしぶ投票所に足を運んだ人もいた。
第1ラウンドで共産党候補を支持したという輸送部門で働く男性はフランス24に、「最低最悪の選択だった」と語った。「金持ちマクロンの傲慢さ、ル・ペンの馬鹿げた公約、すべてがバカバカしくあり得ない選択でした」
男性は空票を投票した。
パリの投票所に足を運んだ女性は、「ファシストや人種差別主義者を避けるためにマクロンに投票した」と語った。「残念ですが、リスクは避けなければなりません」
公式の速報によると、投票率は71.99%、約1300万人の有権者が棄権した。
▽有効票 32,077,541票
▽空白票 2,228,012票
▽無効票 790,987票
▽棄権 13,655,960人
▽登録有権者 48,752,500人