◎多くの専門家が「左派の票が決選投票を左右する」と予想している。
フランスのマクロン大統領は16日、南部マルセイユの選挙集会で政府の環境と気候に関する将来計画を左派有権者に説明し、極右ではなく中道に投票するよう訴えた。
南仏の多文化都市マルセイユの市民、特にミレニアル世代は、4月10日の第1回投票で中道のマクロン大統領よりも急進左派のメランション候補を圧倒的に支持していた。
マルセイユの若い有権者は気候問題に注目している。左派の支持を集めたいマクロン大統領は政府の気候政策や環境対策を積極的にアピールした。
マクロン大統領はジャケットを脱ぎ捨て、袖をまくり、若者たちに語りかけた。「私は多くの若者が抱えている不安を聞いています。私は地球の未来に不安を抱く若者や青年を目の当たりにしています」
各紙の世論調査によると、4月24日の決選投票の支持率は拮抗しており、マクロン大統領がわずかに国民連合の極右ル・ペン党首をリードしている。
第1回投票でル・ペン党首と大接戦を演じたメランション氏は支持者に「ル・ペン党首に1票も入れてはならない」と明言したが、支持者は迷っているように見える。
多くの専門家が「左派の票が決選投票を左右する」と予想している。
マクロン大統領の環境問題への取り組みには賛否両論あるが、一部の穏やかな環境活動家は火力発電ではなく原子力を推進してきた点を評価している。
マクロン大統領は前回選挙時、「地球を再び偉大にする」というスローガンを掲げル・ペン党首に圧勝したが、就任から1年後、燃料価格の上昇などに抗議する激しい黄色いベスト運動に直面し、壁にぶち当たった。
マクロン大統領は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するために、次の首相は環境計画を担当することになるだろうと語った。また、自動車依存からの脱却を目指し、公共交通機関を拡充すると約束した。
またマクロン大統領はル・ペン党首について、「極右は危険だ。叩き出せ」と叫び、極右が負けると過信して決選投票を棄権するようなことだけはしないよう呼びかけた。
一方、ル・ペン党首は16日、西部サンレミシュルアヴルで有権者とふれあい、その後アンティーク市を訪問した。
ル・ペン党首は欧州で最も多くのイスラム教徒が暮らすフランスで頭髪を隠すスカーフの使用を禁止したいと考えている。
ル・ペン党首とマクロン大統領は今週、スカーフをかぶったイスラム教徒の女性から、「国際法で定められている基本的人権に自分の好きな服を選択する権利は含まれていますか?」と詰め寄られた。
フランス全土で決選投票に不満を表明するデモが相次いでいる。
パリ中心部では16日、環境保護団体エクスティンクション・レベリオンが気候問題に対するフランス政府の無策に抗議する3日間のデモを開始した。活動家たちは、「気候問題を大統領選の議論の中心に戻せ」と叫んだ。
他の環境保護団体も両大統領候補に環境保護の公約を強化するよう求めている。
パリでは人種差別に抗議するデモ行進も開催された。
行進に参加したのは主に左派の有権者で、ある女性はAFP通信に、「ル・ペンの就任を阻止するために、鼻をつまんでマクロンに投票する」と語った。
しかし、多くの左派有権者が投票しないか無記名で投票すると主張している。あるデモ隊はAFP通信に、「メランション氏がル・ペンに敗れて以来、ほとんど眠れず、毎日泣いている」と語った。
AP通信の取材に応じた女性は、「棄権してル・ペンが当選したら目も当てられない」と語った。「くさくても我慢してマクロンに投票すべきです。マリーヌ・ル・ペン大統領...あり得ない」