◎最有力候補のマクロン大統領はまだ正式に立候補を表明していない。
1月30日、4月の大統領選に候補を擁立している左派は統一戦線を形成できず、ひどく弱体化したように見える。
フランスの左派を代表する元司法大臣のクリスチャーヌ・トビラ氏は左翼を団結させることを目的とした30日の集会で多くの支持を集めたものの、他の左派候補はこの結果を尊重せず、団結もしないと述べた。
トビラ氏は左派政党の力を集結させエマニュエル・マクロン大統領と極右政党に対抗したいと考えていたが、左派をひとつにまとめることはできなかった。一部の専門家は、「トビラ氏の立候補で左派の票はさらに分散し、左派候補が勝利する可能性は一段と低くなった」と指摘している。
トビラ氏はフランス大統領選に立候補した初の黒人女性であり、2002年の選挙では票の2.3%を獲得した。
トビラ氏は演説の中で、「私たちは統一された左派、フランスをまとめることができる左派になりたいと思っています」と述べた。最新の世論調査によると、左派政党から立候補する主要な候補者5人の支持率は伸び悩んでおり、左派候補が4月24日の決選投票に進む確率はゼロに等しい。
最有力候補のマクロン大統領はまだ正式に立候補を表明していない。2位争いはイル=ド=フランス地域圏知事を務める保守党のヴァレリー・ペクレス候補、国民連合のマリーヌ・ル・ペン党首、極右のエリック・ゼムール候補。極左のジャン=リュック・メランション党首は5位につけている。
不服従のフランスを率いるメランション党首は他の左派候補との統一戦線を拒否し、緑の党の候補とパリ市長のアンヌ・イダルゴ候補(社会党)も他の党とタッグを組むことはないと述べている。
社会党のイダルゴ候補はマクロン大統領に対抗できると期待されていたが、支持率は伸び悩んでいる。社会党は2017年まで政権を率いたフランソワ・オランド前大統領の支持率が10%台まで低下した影響でひどく弱体化し、今もその後遺症に悩まされている。
緑の党のヤニック・ジャドット候補は29日の集会で気候変動を「最大の課題」と呼び、原子力発電所の建設を取りやめ、稼働中の原発を再生可能エネルギーに置き換えると約束した。フランスは総発電量の70%を原発で賄っている。
またジャドット候補は低所得世帯の生活を向上させるために、月収920ユーロ(12万円)を保証する最低賃金法を導入すると誓った。