◎マクロン大統領はまだ立候補を正式に表明していない。
2月5日、フランスの主要な極右大統領候補が選挙集会を開催し、反移民・反イスラムを推進すると支持者に誓った。
2022仏大統領選挙は4月10日に行われる予定。第1ラウンドで過半数を獲得する候補者が出なかった場合は4月24日の決選投票で勝者を決める。
2017年の決選投票で敗れた国民連合のマリーヌ・ル・ペン党首はシャンパーニュ地方で数千人規模の集会を開催した。
一方、ライバルの極右エリック・ゼムール氏も同じ日に北部の都市リールで集会を開催し、ル・ペン党首から注目をそらそうとした。
両候補はエマニュエル・マクロン大統領の政策に強く反対しており、移民とイスラム教徒の取り締まり強化を主要政策のひとつに掲げている。
マクロン大統領は選挙チームは設置したものの、まだ立候補を正式に表明していない。
ル・ペン党首のフランス・ファースト精神は右翼の支持を集めており、今年の選挙でもマクロン大統領のライバルになると期待されている。
一方、ゼムール氏は政治経験はないものの、テレビのコメンテーターとして注目を集め、反イスラム・反移民・反ゲイを公約の柱に掲げ、一定の支持を集めている。
ゼムール氏は番組の中でイスラム教のスカーフ着用禁止、モスクやミナレットの建設禁止などを訴えている。
またゼムール氏は先月、未成年の移民を泥棒・強姦者・殺人者と呼び人種的憎悪を扇動した罪で有罪判決を受け注目を集めた。ゼムール氏は2010年にも黒人やアラブ人への差別を正当化した人種憎悪扇動罪で、2016年には反イスラムを助長する宗教的憎悪扇動罪で有罪判決を受けている。
ル・ペン党首の父ジャン=マリー・ル・ペン元議員もヘイトスピーチの常習犯だったが、ル・ペン党首は慎重派である。
最新の世論調査によると、最有力候補はマクロン大統領だが、レースは接戦になると予想されている。現時点ではル・ペン党首か共和党のヴァレリー・ペクレス候補がマクロン大統領との決戦投票に臨む可能性が高いと思われる。
ゼムール氏はル・ペン陣営に揺さぶりをかけているが、世論調査では遅れをとっている。
ル・ペン党首とゼムール氏は移民に対する国家補助の削減を含む厳しい規制を望み、風力発電に反対し、原子力発電への支援を増やしたいと考えている。ル・ペン党首は以前、EU離脱を訴えていたが、現在は方針を見直し、EUを内部から改革したい模様。
一方、左派は深く分裂しており、複数の候補者が争っているが、世論調査によると、左派候補が決選投票に進む可能性は低いと思われる。