◎ヤジに気づいた議長は「今発言したのは誰だ!」と吠え、他の議員が「出てけ!」と叫んだ。
フランス政府は3日、極右議員が国民議会(下院)で人種差別的な発言をしたことを厳しく非難した。
AFP通信などによると、国民連合のフルナス(Grégoire de Fournas)議員は黒人のビロンゴ(Carlos Marten Bilongo)議員が発言している最中に「アフリカに帰るべきだ」と叫んだという。
ビロンゴ氏は「私はフランス生まれだ」と反論し、この発言を「人種差別であり恥ずべきこと」と糾弾した。
ボルヌ(Elisabeth Borne)首相も発言を却下し、人種差別主義者に居場所はないと断じた。
左派議員団は記者会見で「懲罰を求める」と語った。
フルナス氏はその後、「ヤジはビロンゴ氏ではなく海路で欧州を目指す亡命希望者に向けたものだ」と反論した。
極左政党「不服従のフランス(LFI)」のビロンゴ氏は地中海でNGOに保護され行き場を失っている亡命希望者234人の処遇について政府に質問していた。
ヤジに気づいた議長は「今発言したのは誰だ!」と吠え、他の議員が「出てけ!」と叫んだ。その後、出てけ出てけの大合唱が始まり、議長は審議を中断した。
ビロンゴ氏は記者団に対し、「私は肌の色で差別された」と語った。「私はフランスで生まれたフランスの国会議員です!」
フルナス氏は欧州に押し寄せる移民に言及したと反論したが、出てけの大合唱に屈し、「自分の発言が誤解を招いたのであれば謝罪する」と述べ、頭を下げた。
LFIのメランション(Jean-Luc Melenchon)氏は「あの男を国民議会から追い出せ」とツイートしている。
今年の大統領選と国民議会選では移民問題が大きく取り上げられ、国民連合を率いるルペン(Marine Le Pen)党首は自分が大統領になった場合、移民の大幅削減を問う国民投票を行うと提案していた。
国民連合は6月の国民議会選で議席を10倍以上に増やし、第3党に躍進した。