フランス・バイル政権崩壊、信任投票で支持得られず、新首相選出か議会解散か
バイル氏は26年度予算の削減という不人気な計画を押し通すため、信任投票を呼びかけていた。
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フランス国民議会(下院、定数577)が8日、バイル(Francois Bayrou)首相の信任決議案を反対多数で否決した。
これにより、9ヵ月前に発足したバイル政権は崩壊。マクロン(Emmanuel Macron)大統領は新たな首相を任命するか、議会を解散するかの選択を迫られている。
議会はバイル氏の信任決議案を賛成194ー反対364で否決した。
フランス議会における首相の信任投票は、議院内閣制的要素を部分的に持つ第五共和政の制度の一部として位置づけられている。
フランスでは大統領が首相を任命するが、その首相が議会、特に国民議会の支持を得られなければ実際の統治は困難になる。このため首相は、自らの施政方針を国民議会に提示し、信任を問うことができる。
この信任投票は政府が自主的に行う場合と、野党が内閣不信任動議を提出して実施される場合の二つがある。
政府側からの信任投票は、首相が自らの政策基盤を固めたいときや与党内の結束を確認したいときに用いられる。
一方で不信任動議は、議会において政府に対する反対勢力が結集したときに提出される。不信任が可決されるには、国民議会における絶対多数の賛成が必要とされる。つまり、過半数を超える賛成がなければ不信任は成立せず、政府は存続する。
この仕組みによって、不安定な少数派の連立による頻繁な政権交代を避け、政府の安定性を高める工夫がなされている。
もし不信任が成立した場合、首相と内閣は総辞職を余儀なくされ、大統領は新たな首相を任命するか、国民議会を解散して総選挙を行う道を選ぶ。
第五共和政では大統領権限が強く、首相は大統領との関係と議会の力学の両方を考慮せざるを得ない。このため信任投票は、単なる制度的手続きにとどまらず、フランス政治における大統領・首相・議会の三者関係を映し出す重要な場となっている。
バイル氏は債務抑制のために公共支出を大幅に削減すべきだという自身の見解を野党議員も支持すると信じたが、賭けは失敗に終わった。
極右「国民連合(RN)」の影の支配者であるマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)議員は8日、この結果を歓迎し、マクロン氏に議会を解散するよう促した。「マクロン、議会を解散しなさい...」
少数与党のバイル政権の終焉は予算難、ウクライナとガザ地区での戦争、トランプ米政権の保守的な政策と優先事項の変化など、差し迫った課題に苦しむフランスにとって、新たな不確実性と長期にわたる立法上の行き詰まりの始まりを告げるものとなった。