◎フランスは国内で消費する電力の約67%を原子力で発電している。ガス火力発電の割合は約7%。
フランス政府は2日、ロシアのウクライナ侵攻がもたらしたエネルギー危機を乗り切るため、今冬までに国内の全原子炉を再稼働させると発表した。
パニエルナシェ(Agnes Pannier-Runacher)エコロジー担当相はエネルギー問題について協議する会合の後、記者団に対し、「政府はエネルギー大手フランス電力(EDF)に今冬までにすべての原子炉を再稼働させると約束した」と語った。
またパニエルナシェ氏は冬のピーク時の計画停電を避けるための準備を進めているとした。
フランスは国内で消費する電力の約67%を原子力で発電している。ガス火力発電の割合は約7%。
現在、EDFが運用する原子炉56基のうち32基が定期点検や修繕工事により停止している。
パニエルナシェ氏は、「10月から毎週、停止中の原子炉を再稼働させる計画である」と説明した。
ボルヌ(Elisabeth Borne)首相は先月30日、ロシアの天然ガス遮断と原発の複数停止が重なる最悪のシナリオについて言及した。「この冬、毎日2時間、全世帯に計画停電をお願いする可能性があります...」
政府は配管の腐食などが報告された原発の状況を「注意深く監視する」としている。
パニエルナシェ氏は「EDFは対策を講じており、関係機関と連携してそれが計画通りに進んでいることを確認しなければならない」と述べた。
マクロン政権は6月にエネルギー節減計画を発表し、2024年までにエネルギー使用量を10%削減するという目標を掲げている。
専門家は、「ロシアのガスパイプラインが完全停止することを想定して準備を進める必要がある」と指摘している。フランスの戦略的ガス備蓄は92%に達したものの、液化天然ガス(LNG)だけで冬の電力を賄うことは難しいようだ。
パニエルナシェ氏によると、隣国のスペインやドイツとの電力・ガス取引も強化する予定だという。
ロシア国営ガスプロムは今週、定期点検を理由に欧州向けガスパイプライン「ノルドストリーム1」を停止した。