フランス大統領、辞任したばかりの前首相に政権樹立要請、混乱極まる
ルコルニュ氏は辞任から1週間も経たぬうちに首相に返り咲き、再び野党と対峙することとなった。
.jpg)
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は10日、今週初めに辞任したルコルニュ(Sebastien Lecornu)前首相に「再挑戦」を促し、政治的な行き詰まりを打開するよう要請した。
これにより、ルコルニュ氏は辞任から1週間も経たぬうちに首相に返り咲き、再び野党と対峙することとなった。
この人事は2027年まで続くマクロン政権に与えられた最後のチャンスになる可能性がある。
ルコルニュ氏は6日、新内閣を発足させてから1日も経たぬうちに辞意を表明。少数与党に残された選択肢は限られているように見える。
この辞任でフランスの政治危機は深刻化。野党はマクロン氏に議会を解散するよう促している。
ルコルニュ氏は9月9日に前任者のバイル(Francois Bayrou)元首相の後任として、不安定な状況が続く中、この1年で4人目の首相に就任した。
国民議会(下院、定数577)はバイル氏の信任決議案を反対多数で否決。これにより、9ヵ月前に発足したバイル政権は崩壊し、マクロン氏は新たな首相を任命するか、議会を解散するかの選択を迫られた。
マクロン氏はルコルニュ氏を後任に指名。26年度予算案について、政党間の合意形成を直ちに図るよう指示したが、野党を納得させることはできなかった。
フランスは増大する経済課題と膨張する債務に苦しみ、政治危機がその問題を悪化させ、EU全体に警戒感をもたらしている。
大統領府は10日未明、ルコルニュ氏の再任命を発表した。
ルコルニュ氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「新たな職務の申し出を受け入れた」と述べた。
またルコルニュ氏は「年末までに予算案を成立させ、同胞たちの日々の問題に対応するためにあらゆることを行うという使命を与えられたのだ」と強調した。
極右「国民連合(RN)」の女帝マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)議員はこの人事を嘲笑。マクロン氏に引退を勧告した。「悪あがきはよせ、マクロン。解散しなさい、さあ早く...」
統計局のデータによると、2025年第1四半期(1~3月)末時点で、フランスの公的債務は3兆3460億ユーロ(587.9兆円)、GDP比114%に達した。
貧困率も2023年時点で人口の15.4%に達し、1996年の統計開始以来、最高水準となっている。