◎ゴーン容疑者は2018年11月に金融商品取引法違反で逮捕され、保釈中の2019年にレバノンに逃亡した。
フランス検察は22日、過去に類を見ない歴史的な逃亡劇を演じた元自動車王カルロス・ゴーン容疑者の国際逮捕状を発行した。
ゴーンは2019年に日本からレバノンに逃亡し、現在はベイルートに潜伏しているとみられる。
パリ郊外ナンテールの検察庁は22日、マネーロンダリングと会社の資産を乱用したとして、ゴーンと他の4人に対する逮捕状を発行したと発表した。
検察はルノー・日産の企業連合統括会社とオマーンの車両販売会社スハイル・バーワン・オートモービルズ(SBA)の間で行われたとされる1500万ユーロ(約21億円)の取引にゴーンが深く関与したとして捜査している。
ゴーンは2018年11月に金融商品取引法違反で逮捕され、保釈中の2019年にレバノンに逃亡。不正行為を否定しているが、日本政府と検察は不正出国したゴーンを必ず捕らえると誓った。
日本とレバノンは引き渡し条約を結んでいない。レバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラは旧宗主国のフランスから要請が出ているにもかかわらず、ゴーンの逮捕に難色を示しているとされる。
ゴーンは22日、メディアの報道を見て逮捕状が発行されたことを知ったと述べ、「いずれにせよレバノンからの出国は禁止されている」と反抗的な態度を示した。
ゴーンはフランスBFMテレビのオンラインインタビューの中で、「私は自分を守る準備ができている」と述べ、あらためて疑惑を否定した。「私はオマーンの販売会社からお金を受け取っていません。横領などありません」
一方、ナンテール検察局は、「今回発行した国際逮捕状は、フランスでゴーン氏が関与した2つの事件のうちの1つである」と説明している。
ゴーンは昨年5月、AP通信のインタビューの中で「名誉回復のために闘う決意である」と語っていた。
AP通信によると、ゴーンの弁護団は22日付けの声明でフランスの令状を「驚くべきもの」と呼び、「ゴーン氏は現在、レバノンの司法から出国を禁じられているため、逮捕状は意味をなさない」という見方を示したという。
ヒズボラは自国民の身柄を引き渡さないと約束している。ゴーンはレバノン、フランス、ブラジルの市民権を持っている。
日産の元副社長であるケリー被告は先月、ゴーンの報酬を約93億円過少報告した金融商品取引法違反の罪で懲役6カ月、執行猶予3年(求刑懲役2年)の有罪判決を受けた。
ゴーンは同じ日に逮捕されたケリー被告を擁護している。「彼は無実です。日本の警察は彼をぞんざいに扱っているでしょう。彼は独房でひどい目に遭っています...」