欧州各国でEU・メルコスール貿易協定交渉に抗議するデモ
農民らはトラクターで道路を封鎖し、交通を混乱させるなどしてEU指導部と各国政府に対し強い不満を示した。
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フランスとギリシャの農家が8日、EUが進める南米諸国との自由貿易協定に反対し、大規模な抗議デモを展開した。農民らはトラクターで道路を封鎖し、交通を混乱させるなどしてEU指導部と各国政府に対し強い不満を示した。抗議はEUと南米南部共同市場(メルコスール:ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイ)との間で進められている交渉への反発が主因となっている。
パリでは約100台のトラクターが市内に進入し、国民議会や凱旋門付近など主要な地点に集結した。抗議を主催したのは主要な農業団体で、EUと南米間の協定が欧州農業に壊滅的な影響を与えるとの懸念を表明した。農民らは安価な南米産農産物が欧州市場に流入すれば、自国の農産物が価格競争で太刀打ちできなくなると主張している。フランス政府は同協定に対して従来から慎重姿勢を示しているものの、農民たちは政府が十分な反対の声を上げていないとして批判を強めている。
ギリシャでも抗議がエスカレートし、主要高速道路やジャンクション、料金所などで48時間にわたる封鎖が行われた。農民たちはトラクターを並べて主要ルートを遮断し、緊急車両を除く交通を遮断した。特に首都アテネとテッサロニキを結ぶ主要高速道路が複数箇所で両方向にわたり閉鎖され、物流や通勤に深刻な影響を与えた。ギリシャの農家は高騰する生産コストや補助金支給の遅れ、羊・山羊の伝染病発生といった国内の問題も背景に抗議の声を強めている。政府は電気料金の引き下げや燃料税の減免など一部の譲歩策を打ち出したが、農家側は要求が満たされないとして封鎖を継続している。
農民たちはEUがこの自由貿易協定を進めることで南米諸国からの廉価な農産物が流入し、欧州の農業が壊滅する恐れがあると一様に訴えている。フランスやギリシャのほか、ポーランドなど他のEU加盟国でも同様の反対運動が展開されており、農業団体は協定の撤回や厳格な保護措置の導入を求めている。
EUの執行機関である欧州委員会はこの協定が双方にとって貿易拡大や経済成長につながるとして交渉を推進しているが、農家側はEU内の厳格な生産基準やコスト構造とメルコスールの低コスト生産との間に大きな差があると反論している。組合の代表は、「この協定が成立すれば欧州農業は存続の危機に直面する」と述べ、加盟国政府に対して強い反対を求める声明を出した。
フランスでは同日、農民たちが国内各地で道路封鎖を行い、地方都市を中心に抗議活動が広がった。ギリシャの抗議行動は既に数週間前から始まっており、地元経済や物流への影響が懸念されている。政府は農家側との対話継続を表明しているものの、妥結点はまだ見えていない。
今回の抗議は、EUが掲げる市場開放路線と域内農業の保護をどう両立させるかという難題を浮き彫りにしている。自由貿易協定の賛否を巡っては加盟国間の意見も分かれており、今後EU議会や各国政府間で激しい議論が続く見通しだ。
