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欧州諸国、米国が主張する「文明の消滅」に反論

カラス氏は会議の演説で「いわゆる”退廃的な欧州”が文明の消滅に直面しているという主張は間違いだ」と反論し、欧州が人権や自由な社会、多様性のある民主主義を守ることで世界に貢献していると強調した。
2026年2月15日/ドイツ、バイエルン州ミュンヘン、EUのカラス外交安全保障上級代表(AP通信)

EUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は15日、ドイツ・ミュンヘンで開催された安全保障会議で、欧州が「文明の消滅」の危機に直面しているとの米国の主張を強く否定し、米欧関係をめぐる溝が改めて浮き彫りになった。

この主張は昨年12月に米国が公表した国家安全保障戦略に盛り込まれたもので、欧州が移民政策の失敗や出生率の低下、言論の自由の制限、政治的反対勢力への抑圧、国家アイデンティティや自信の喪失によって弱体化し、「文明の消滅」に瀕していると指摘していた。こうした見方はトランプ政権の外交戦略の一部として、欧州の方向性を批判する文脈で示されていた。

カラス氏は会議の演説で「いわゆる”退廃的な欧州”が文明の消滅に直面しているという主張は間違いだ」と反論し、欧州が人権や自由な社会、多様性のある民主主義を守ることで世界に貢献していると強調した。また、EUが依然として多くの国にとって魅力的な地域であり、昨年カナダを訪問した際には「多くの人々がEUへの加盟に関心を示した」と述べ、米国の批判を「欧州バッシング」と切り捨てた。

これに先立ち、米国のルビオ(Maro Rubio)国務長官は同会議で、トランプ政権が移民、貿易、気候政策をめぐって欧州と意見が異なるものの、米欧の関係は依然として重要で、「我々のホームは西半球だが、欧州との関係は強固であり続ける」と述べ、トランス大西洋関係の継続を強調した。ルビオ氏は昨年の副大統領の挑発的な講演よりも抑制した調子で、同盟関係の再構築を訴えたが、政策の具体的な方向性では引き続き強い米国の影響力を反映する姿勢を示した。

一方、欧州側の他の指導者もカラス氏の立場を支持し、欧州の価値観と社会モデルを擁護した。イギリスのスターマー(Keir Starmer)首相は「私たちが代表する活気ある自由で多様な社会を守る必要がある」と述べ、異なる人々が平和的に共存できることこそ欧州の強さの源泉であると強調した。

今回のやり取りは米国とEUが依然として多くの共通の安全保障上の利益を有している一方で、価値観や政策優先事項に関して明確な見解の違いがあることを示している。カラス氏は演説の中で、米欧双方が一致しない点があることを認めつつも、「そこから協力を進めることができる」と述べ、対話と連携の重要性を訴えた。

ミュンヘン安全保障会議は伝統的に米欧の外交・安全保障政策の主要な舞台であり、今回の議論は今後の米欧関係の方向性や、NATOを中心とする共同防衛の枠組みにどのような影響を与えるかを探る上でも注目される。

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