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欧州軍がグリーンランドに到着、米国との協議続く中

デンマーク政府は15日、グリーンランドにおける軍事プレゼンスの強化を改めて表明し、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンなどのNATO加盟国が部隊派遣を進めていると明らかにした。
2026年1月15日/ドイツ、ハノーバー州の空軍基地(AP通信)

デンマーク自治領グリーンランドに複数のヨーロッパ諸国から軍部隊が到着し、北極圏の戦略的重要性と安全保障環境の変化を強調する動きが進んでいる。これはデンマークとグリーンランドの代表が米ワシントンDCでトランプ政権の高官と会談を行った際、グリーンランドの将来を巡る「根本的な意見の不一致」が鮮明になった直後の動きである。

デンマーク政府は15日、同島における軍事プレゼンスの強化を改めて表明し、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンなどのNATO加盟国が部隊派遣を進めていると明らかにした。フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は「最初の部隊がグリーンランドに向かっている」と述べ、その後、当局は山岳歩兵部隊約15人が演習のためにヌークに到着したことを確認した。ドイツも偵察チーム13人を派遣する計画を発表している。

デンマークのラスムセン(Lars Løkke Rasmussen)外相は14日、ワシントンでの会談後、「グリーンランドを巡る根本的な意見の相違が依然としてある」と指摘した。トランプ(Donald Trump)大統領はロシアや中国の影響力拡大を理由に米国が同島の支配権を握る必要性を強調してきたが、デンマークとグリーンランド両政府はこれを明確に否定している。

ラスムセン氏は米側との間にワーキンググループを設置し、対話を継続する方針を示した一方で、「米国がグリーンランドを所有することはない」と強調した。トランプ氏が「我々が行動しなければロシアや中国が進出する」との発言も、会談後の緊張を象徴するものとして報じられている。

一方、グリーンランドのニールセン(Jens-Frederik Nielsen)首相は15日、「グリーンランドは売り物ではない」と改めて強調し、「我々は米国の一部となることも、米国によって統治されることも望んでいない」と語った。ヌークの市民の多くも、初のデンマーク・グリーンランド・米国の三者協議が実施されたことを評価しつつも、回答の少なさに不安を示している。

今回の欧州軍部隊の展開は、グリーンランドとデンマークの主権と安全保障を支える意志を示すものであり、米国とは異なるアプローチによる北極圏防衛の一環と位置付けられている。欧州側はNATOの枠組み内で協力して地域の安全保障を確保することが可能だと主張し、単独の米国支配が必要だとの見方に対抗している。

軍事展開はあくまで象徴的規模ながら、航空機や艦船、兵員によるローテーション方式での増強が進んでいる。デンマーク防衛当局は、「先を見通せない安全保障環境に対応するため」と説明し、今後も同盟国と連携した軍事プレゼンスの維持・強化を進めるとしている。

グリーンランド問題は現在、単なる地政学的な安全保障の枠を超え、地域の鉱物資源や経済的価値を巡る国際的な関心の対象となっている。両政府間の対話は続くものの、米国とデンマーク・グリーンランド側との溝がどのように埋まるかは依然として不透明なままである。

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