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欧州諸国、トランプ氏の関税脅しを批判、グリーンランド問題

トランプ氏は17日、欧州8カ国に対し、グリーンランドに関する米国の立場に反対するなら10%の追加関税を科す可能性があると表明した。
2026年1月17日/グリーンランド、ヌークの在米国領事館前、トランプ政権のグリーンランド取得計画に抗議するデモ(AP通信)

トランプ(Donald Trump)大統領がデンマーク自治領グリーンランドを巡る対立を背景に欧州諸国に対する関税強化を示唆したことを巡り、欧州側が強い反発と懸念を示している。トランプ氏は17日、欧州8カ国に対し、グリーンランドに関する米国の立場に反対するなら10%の追加関税を科す可能性があると表明した。これに対し、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、フィンランドは共同声明で、「関税の脅しは大西洋横断関係を損ない、危険な悪循環を招く」と強く批判した。

声明では、対象となった欧州諸国の軍隊がグリーンランドで実施している演習について、「脅威を与えるものではない」と明言し、トランプ氏が関税を交渉カードとして用いることは同盟関係を損なうものであると警告した。さらにデンマーク王国とグリーンランドの主権と領土保全の原則に基づく対話の継続を望むとも述べた。

トランプ氏はグリーンランドの戦略的重要性を強調しつつ、同地域に対する欧州側の軍事プレゼンスや影響力に対する圧力をかけているとみられる。米国側の立場では、グリーンランドを将来的に購入・支配下に置くことが国家安全保障上の重要目標であるとの見方が示唆されているが、これを正式に実行する法的手続きがどうなるかなどについては不透明な部分も多い。

EUの外交政策を統括するカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は18日、関税は米欧双方の経済を傷つけ、共通の繁栄を損なうリスクがあると指摘。さらに、グリーンランドの安全保障については、「NATOの枠組み内で対応可能だ」と述べ、同盟国間の協調が重要だとの立場を強調した。さらに中国やロシアが米欧間の分裂を利用する可能性についても警戒感を示した。

欧州側の批判は政界全体に広がっている。フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は「いかなる脅しもわが国および欧州を変えさせることはできない」 と述べ、イギリスも「関税は完全に誤りである」との声明を出している。さらに、欧州議会内では新たな対抗措置として米欧間の貿易協定の手続きを一時停止する方針を示す声も上がっている。

これに先立ちトランプ氏は自身のソーシャルメディアで、グリーンランドへの欧州部隊派遣について「安全保障上の大きなリスクだ」と批判し、これに反発する欧州の姿勢が「極めて危険な状況を生む」と主張した。今回の関税は2月1日から10%を適用し、6月1日には25%まで引き上げる可能性があるとしているが、具体的な実施方法や範囲については調整が続いているものとみられる。

欧州諸国と米国はこれまでウクライナ支援や安全保障協力を通じて関係を維持してきたが、今回の関税危機はNATO同盟国間の亀裂を深める可能性をはらんでいる。欧州側は緊急協議を開催し、共通の対応策を模索している。

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