欧州諸国がキプロス支援で結束、イラン製自爆ドローン攻撃受け
きっかけとなったのはキプロス南部にあるイギリス空軍基地にイラン製とみられる自爆ドローン「シャヘド」が飛来し、施設に被害を与えた攻撃である。
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中東で続く米イスラエルとイランとの戦争の影響が欧州にも及ぶ中、地中海の島国キプロスを巡り、欧州各国が防衛支援を強めている。イラン製とみられる自爆ドローンによる攻撃がEU領内に初めて到達したことを受け、各国は軍事力の展開や外交的連携を進め、地域の安全確保に乗り出した。
きっかけとなったのはキプロス南部にあるイギリス空軍基地にイラン製とみられる自爆ドローン「シャヘド」が飛来し、施設に被害を与えた攻撃である。このドローンはレバノンの親イラン勢力ヒズボラが発射した可能性が指摘され、米イラン紛争の戦火が初めてEU加盟国の領土に及んだ事例となった。幸い大きな被害は報告されていないが、欧州各国に衝撃を与えた。
こうした状況を受け、フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は9日、キプロスを訪問し、同国への連帯と防衛支援を表明した。マクロン氏はフリストドゥリディス(Nikos Christodoulides)大統領やギリシャのミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相と会談し、東地中海地域の安全保障強化について協議した。マクロン氏は「キプロスへの攻撃は欧州への攻撃と同じだ」と述べ、EUとして島の防衛を支える姿勢を強調した。
フランスはすでにフリゲート艦「ラングドック」をキプロス周辺海域に派遣したほか、対ドローン・対ミサイル防衛システムの配備を進めている。さらに空母「シャルル・ド・ゴール」を中心とする空母打撃群や複数の軍艦を東地中海に展開する計画も示し、防衛体制の強化を図る。
ギリシャもこれに呼応し、空軍のF16戦闘機4機をキプロスの空軍基地に派遣したほか、フリゲート艦などの海軍戦力を周辺海域に展開した。イギリスも駆逐艦を派遣する方針を示し、スペインやイタリア、オランダなども軍事支援を検討または実施している。欧州各国が連携してキプロス周辺の防衛網を強化する構図となっている。
キプロスはEU加盟国ではあるがNATOには加盟しておらず、独自の軍事力には限りがある。このため、イギリスの基地が置かれる同国は中東情勢の緊張が高まる中で地政学的に重要な拠点となっている。今回のドローン攻撃はイランと米イスラエルの対立が拡大する中で、欧州が紛争の影響を直接受ける可能性を示した。
マクロン氏はまた、ホルムズ海峡の航行安全を確保するため、欧州主導の海上護衛構想を検討する考えも示した。中東の戦闘がエネルギー輸送や国際貿易に影響を及ぼす懸念が高まっているためである。
欧州各国は外交面でも緊張緩和を呼びかけ、地域の軍事的エスカレーションを抑える努力を続けている。ただ、紛争の影響が地中海や欧州周辺に拡大する可能性は否定できず、キプロスを中心とした防衛態勢の強化は今後も続く見通しである。
