◎カプタゴン(アンフェタミン系薬物)は「貧乏人のコカイン」と呼ばれ、湾岸諸国や欧州などで人気を集めている。
EUは25日、アンフェタミンの製造・密売で利益を上げたとして、シリアのアサド(Bashar Assad)大統領の家族を含む個人および団体に制裁を科した。
EU加盟27カ国の外相はルクセンブルクで開催された外相会議でこの問題について協議し、シリアの個人25人と8つの団体を制裁リストに追加。EU圏内に保有している資産を凍結し、渡航を禁じた。
EUは声明の中で、「カプタゴン(アンフェタミン系薬物)の製造・密売・取引に関与した個人と団体をリストに追加する」と述べている。「アンフェタミンはアサド政権の主要な収入源であり、市民に対する抑圧政策を維持するうえで欠かせないものになっています...」
専門家によると、カプタゴンは主にシリアと近隣のレバノンで生産され、数百万錠入りのパッケージが湾岸諸国や欧州に密輸されているという。
この取引はアサド氏とその関係者、およびイランの支援を受けるレバノンの支配者ヒズボラとの強い結びつきを示している。
英政府の試算によると、シリアのカプタゴン産業は570億ドルの価値があり、シリア内戦を支える主要な収入源となっている。
アサド氏は「アラブの春」の抗議デモを弾圧し、西側の制裁下に置かれ、その後、イスラム国(ISIS)との戦争を開始した。
アサド政権は同盟国であるロシアとイランの支援を受け、大量虐殺、拷問、民間インフラ爆撃、化学兵器を使用。数多くの戦争犯罪で糾弾されている。
EUにおけるシリアの経済制裁対象はこれで322人と81団体になった。
カプタゴンは「貧乏人のコカイン」と呼ばれ、湾岸諸国や欧州などで人気を集めている。シリア内戦でもカプタゴンが出回り、多くの戦闘員が恐怖心を薄れさせるために使用したとされる。