◎ブルガリアは北マケドニアと言語や民族をめぐって対立し、アルバニアもその流れでEU加盟交渉を阻まれることになった。
西バルカン諸国は23日、ウクライナとモルドバのEU加盟候補国入りを称賛する一方、自分たちのEU加盟交渉が進展しないことに不満を表明した。
ブルガリアの政治危機はEU首脳会議に暗い影を落とし、バルカン諸国の怒りを呼び起こしている。
ブルガリア議会は22日、ペトコフ(Kiril Petkov)首相の連立政権に対する不信任決議案を賛成多数で可決し、長らく放置されてきた北マケドニアとアルバニアのEU加盟交渉に新たな障害を突きつけた。
3カ国はいずれもNATOに加盟しているが、EU加盟国のブルガリアは北マケドニアとアルバニアのEU加盟を阻んでいる。
ブルガリアは北マケドニアと言語や民族をめぐって対立し、アルバニアもその流れで加盟交渉を阻まれることになった。
ペトコフ氏は23日、EU理事会議長国のフランスが提案した妥協案について、「内政が議論を妨げている」と説明した。「これはブルガリア議会の決定であり、私一人、そして政府もブルガリアの現在の立場を変えることはできません」
北マケドニアとアルバニアはペトコフ氏の声明を却下した。
アルバニアのラマ(Edi Rama)首相は23日、「ブルガリアは恥を知るべきだ」と憤慨した様子で語った。「欧州の裏庭で戦争が起きているのですよ...それなのに、NATO加盟国が同じNATO加盟2カ国を誘拐するとは!」
オランダのルッテ(Mark Rutte)首相は、西バルカン諸国の最大の懸念はブルガリアであると認め、「多くの苛立ちを生じさせているが、ブルガリアの懸念も理解できる」と述べた。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は、「合意は手の届くところにあると信じている」と楽観的な見方を示した。
23日の会議では、数人の首脳が「無駄に長い」EU加盟プロセスを改革する必要があると主張した。
EUのボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は、全会一致を必要とするルールを「大きな問題」と呼んだ。「EUの意思決定の方法を考え直さなければなりません。1国の申し出を何年も議論することになります」
EUは加盟を何年も待っているバルカン半島の国々に、「EUは門戸を開いている」と安心させなければならない。彼らの信頼を失えば、ロシアや中国のさらなる欧州進出を許すことになるだろう。
ロシアによるウクライナ侵攻はEU加盟希望国をさらに増やした。ウクライナ、モルドバ、ジョージアが大急ぎで加盟申請を提出した。
ボスニア・ヘルツェゴビナの大統領評議会議長の報道官はウクライナとモルドバの加盟候補国入りを祝福する一方、「1990年代初頭に壊滅的な戦争を経験した自国は前進できていない」と嘆いた。「ボスニアが同じ場所に立てないことを残念に思います。今日、ウクライナで起きていることは、ボスニアが過去に経験したことと同じだからです...」
EUが新加盟国を認めたのは2013年のクロアチアが最後である。ドイツ、フランス、イタリア、オランダなど、1950年代にEUを創設した国々でユーロ懐疑派の声が高まり、拡大プロセスは遅々として進んでいない。
10年前のユーロ圏債務危機、2015年のシリア難民大量流入、2016年のイギリス離脱投票などもEUの拡大を阻む政治的不安の一因となった。
EUに加盟したいコソボの大統領府は23日、「西バルカン諸国の一致団結なくして欧州の平和と安定なし」と声明を発表した。「コソボの国民はより多くの可能性と進歩を望んでいます。私たちはEUを見て、感じて、そこで生活したいと思っているのです...」
欧州理事会のミシェル(Charles Michel)議長は、「EUは西バルカン諸国の加盟手続きを加速させることに尽力している」と述べた。
一方、アルバニアのラマ氏は、「ウクライナ人はアルバニアの窮状を目に焼き付けておくべきである」と語った。「候補資格を与えることは良いですが、ウクライナの人々が幻想を抱かないことを望みます」