◎北キプロスはトルコ軍の支援を受けて1983年に独立を宣言したが、国際社会はこれを認めていない。
2022年4月18日/キプロス、首都ニコシア郊外、北キプロス・トルコ共和国から避難してきた亡命希望者(Petros Karadjias/AP通信)

EUの執行機関である欧州委員会は18日、キプロス島の分離主義国家である「北キプロス・トルコ共和国(通称北キプロス)」に不法移民の流入を食い止めるよう促した

中東からキプロスを目指す移民の大半が、北キプロス経由でキプロスに入国する。

欧州委員会のスキナス(Margaritis Schinas)副委員長は18日にキプロスの首都ニコシア郊外の移民収容キャンプを視察し、記者団に、「北キプロスも不法移民の流入を抑える責任を負わなければならない」と述べた。

1974年のキプロス紛争でキプロス島が二分されて以来、キプロスとトルコはその地位をめぐって激しく対立してきた。北キプロスはトルコ軍の支援を受けて1983年に独立を宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

キプロス政府によると、中東の亡命希望者(シリア、イエメン、アフガニスタンなど)はトルコから北キプロスに入国する際、主に規制の緩い学生ビザを申請するという。

その後、何千人もの亡命希望者が北キプロスの緩い緩衝地帯(正式な国境ではない)を越えてキプロスにやってくる。

スキナス氏によると、欧州委員会の専門家チームが7月に北キプロス当局と会合を開き、この問題について協議する予定だという。

またスキナス氏は、「トルコ政府はキプロスに到着する亡命希望者の数を減らす取り組みに協力する意思を示している」とした。

スキナス氏は、「EUはキプロスと北キプロスの全長180kmにおよぶ緩い緩衝地帯を正式な国境としてではなく、EU法に基づいて監視を強化することも支援する」と述べた。

キプロス政府によると、今年1~5月の亡命希望者数は昨年同時期の2倍、約1万人に増加したという。

スキナス氏の視察に同行した内務省高官は、「EUの追加予算7200万ユーロ(約100億円)で新たな移民収容キャンプを建設している」と明らかにした。

キプロスの収容キャンプは過密と衛生設備の不備で批判を浴びているが、この数カ月で一時の超過密状態は緩和されたと伝えられている。

2022年3月10日/キプロス、首都ニコシア郊外の移民収容キャンプ(Petros Karadjias/AP通信)
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