欧州司法裁判所、ハンガリーの児童保護法を批判、21年成立

オルバン政権の児童保護法は21年に成立した。
ハンガリー、首都ブダペストで開催されたLGBTQプライド・パレード(Getty Images)

欧州司法裁判所のカペタ(Tamara Capeta)法務官は5日、ハンガリーのオルバン政権が2021年に公布した児童保護法について、EUの法律と価値観に反しているとして、同裁判所に違法と裁定するよう促した。

オルバン政権の児童保護法は21年に成立。テレビ、映画、広告、文学など、未成年者が入手可能なコンテンツにおける同性愛の描写や宣伝を禁止したほか、学校教育プログラムにおけるLGBTQ(性的少数者)問題への言及を禁止し、さらに出生時の性別から逸脱した性別(トランスジェンダー)を公に描写することも禁じている。

カペタ氏は意見書の中でこの法律を批判し、EUが保障する複数の権利を侵害していると指摘。「差別禁止、私生活と家族の生活の尊重、表現の自由と情報にアクセスする権利などが侵害されている」と述べた。

ハンガリー議会(一院制、定数199)は4月、与党フィデス・ハンガリー市民同盟が提唱するLGBTQ+による公共イベントを禁じる憲法改正案を3分の2以上の賛成多数で可決した。

与党は児童保護法と今回の憲法改正について、性的宣伝から子供を保護するためと主張している。

しかし、野党と人権団体はこれを「ロシアの法律」と呼び、同性愛と小児性愛が混同されていると批判。同性愛者に対する誹謗中傷や暴力を煽っていると批判している。

EUの執行機関である欧州委員会はこの法律がEU法に違反しているとして、欧州司法裁判所に差し止めを求める訴訟を起こしている。

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