◎ポーランドとバルト三国のエストニア、ラトビア、リトアニアは旧ソ連のベラルーシから押し寄せてくる移民希望者の対応に苦慮している。
1月21日、リトアニアの首都ビリニュスでEUの国境警備について話し合う会議が開催され、一部のEU加盟国から進行中の「移民の波」に対応するよう求める声が上がった。
会議にはフランス、イタリア、ポーランドなどの内相やEUの国境警備機関であるユーロポール、フロンテックスなどの治安当局の責任者なども参加した。
大臣らはここ数カ月の間に移民希望者が劇的に増加したことに懸念を表明し、国境警備の強化、中東、アフリカ、アジアの難民をEUに送り込もうとする人身売買業者の取り締まり強化などの必要性を強調した。
EUを統括する欧州委員会 内務委員のイルヴァ・ヨハンソン氏は会議の冒頭、「私たちは国境を侵略者から守り、市民を保護しなければならない」と述べた。
またヨハンソン氏は、貧困や紛争から逃れるために亡命を希望している人々を「危険な旅」から守る必要があると述べ、さらに、「EUに滞在する許可を得ていない人を自国に送還する新しいシステムの構築が必要」と強調した。
ヨハンソン氏は参加者に、「EUは人身売買を防ぎ、滞在する権利のない人々を速やかに送還する必要がある」と呼びかけ、システムの構築に向けた取り組みを後押しするよう求めた。「新しいシステムを確立すれば、さらに多くのことができるようになります。しかし、それを実行するためには、加盟国の協力と団結が必要です」
報道によると、大臣らは来月フランスで開催される会議で計画の詳細について協議する予定だという。
会議に参加した16カ国は共同声明の中でシェンゲン協定の改正を促し、人身売買に関与する組織や事業者をブラックリストに追加した。また、不法移民に対するインセンティブを減らし、庇護(ひご)制度の乱用を防ぎ、国境警備により多くの予算を投じるべきと訴えた。
シェンゲン協定によりEU市民、居住者、短期滞在者は国境での出入国管理なく加盟国間を移動できる。
ギリシャの移民・亡命大臣は隣国トルコから押し寄せてくる移民希望者の波に圧倒されていると訴え、現在のシステムを「役立たず」と呼んだ。
ポーランドの内相はEU移民法の改正を求め、「不法入国者をより厳しく取り締まるべき」と強調した。
ポーランドとバルト三国のエストニア、ラトビア、リトアニアは旧ソ連のベラルーシから押し寄せてくる移民希望者の対応に苦慮している。
ポーランドはベラルーシ国境に電子監視システムを備えた高強度フェンスの建設を開始した。リトアニアもベラルーシ国境に壁を建設中。