◎EUは先月、家庭を暖め、産業を動かすために必要な天然ガスと原油をロシアに依存し過ぎていたと痛感させられた。
EUは25日、ロシア・ウクライナ戦争の影響で高騰しているエネルギー価格を抑える妥協案に合意した。
27カ国の首脳は様々な妥協案を提示し、EUを統括する欧州委員会は南部と北部の国々の間に生じた溝を埋めることにひどく苦労した。
スペインを中心とする地中海沿岸の国々は電力とガス市場に介入する案を提案し、ドイツとオランダはこれらの思い切った提案に力強く反対した。
しかしEU首脳は、ロシア依存がもたらした今回のエネルギー危機を回避するために、天然ガスの共同購入とEUの天然ガス貯蔵施設を満杯にすることを目指す欧州委員会の提案に同意した。
EUは先月、家庭を暖め、産業を動かすために必要な天然ガスと原油をロシアに依存し過ぎていたと痛感させられた。
EUは妥協案の発表に先立ち、ロシア依存を緩和する新しいパートナーシップ協定を米国と結んだ。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長によると、米国とその他の国は今年中に欧州への液化天然ガス輸出を150億㎥増やす予定だという。将来的には、さらに大規模な輸送が行われることになる。
一方、スペインのサンチェス首相は、国内の農家やトラック運転手、漁業組合からの激しい抗議デモに直面したことを受け、電力とガス市場に介入し、価格統制するプランを提案した。
しかし、このリベラルな提案に賛同する国は少なかった。EUは5月にこの問題を再検討する予定で、スペインとポルトガルはその間の価格上昇を何とか乗り切る必要がある。
フランスのマクロン大統領は、「理事会内の見解の相違が議論を加熱させた」と述べた。「国によって発電方法や電気料金は大きく異なります...」
火力発電の比率が高い国や離島が多い国の電気とガス料金は特に高騰している。
欧州委員会はコロナウイルス対策基金のようなやり方で問題に対処したいと考えている。加盟27カ国は定められた負担比率に基づいて基金に資金を提供し、ワクチンを共同購入した。
フォン・デア・ライエン委員長は記者会見の中で、「天然ガスの高騰が電気とガス料金を押し上げている」と述べ、加盟27カ国で力を合わせて対応していく必要があると強調した。「つまり、私たちは団体で交渉に臨み、力を合わせてガス貯蔵庫を満杯にする必要があるのです」
またフォン・デア・ライエン委員長は、ガスパイプライン工事を完成させ、貯蔵施設を増強し、万一に備える必要があると述べた。「EUはエネルギー市場の見直しに着手します。ロシア依存から抜け出す時が来ました」
欧州は開戦以前から、コロナ規則の世界的な緩和と世界経済が本格的に動き出した影響によるエネルギー価格の高騰とインフレに直面していた。
欧州委員会はEU圏の経済成長率について、2022年は4%、2023年には2.8%に低下すると予測している。
EUは3月11日の首脳会議で2027年までにロシアの天然ガス、原油、石炭への依存を段階的に解消することに原則合意した。
EUは現在、発電、暖房、産業用に使用される天然ガスの90%を輸入しており、ガスの約40%と原油の4分の1をロシアに依存している。