EU、トランプ政権に貿易協定の履行要求、最高裁判決受け
EUの執行機関である欧州委員会は22日、2025年8月に米国と合意した「EU・米国共同声明」に基づく関税取り決めの履行を米側に求めた。
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EUは米国に対し、欧州との貿易協定を尊重すべきだと強く求めている。これは、米連邦最高裁判所がトランプ(Donald Trump)大統領の関税措置を違法と判断したことを受けたものである。この判決により、トランプ政権が他国に課していた関税の根拠が否定され、貿易政策が大きく揺らいでいる。
EUの執行機関である欧州委員会は22日、2025年8月に米国と合意した「EU・米国共同声明」に基づく関税取り決めの履行を米側に求めた。この共同声明では、EUから米国に輸出される製品の約70%に対して15%の輸入税を上限として設定し、米側はこれを超える関税を課さないこと、EU側は米国製品への関税引き下げなどの譲歩を行うことが柱となっていた。これらの取り決めが最高裁判決を受けて不透明になっているため、EUは「公平でバランスの取れた相互利益に基づく貿易・投資環境を提供する」ためにも、米国に明確な説明を求めている。
欧州議会では最高裁判決とそれに続く米側の対応を受け、EU・米国貿易協定の批准手続きを一時停止する提案も出ている。欧州議会の国際貿易委員会はX(旧ツイッター)への投稿で「米側の関税政策は純然たる混乱であり、誰にも理解できない。疑問と欧州及び他の米国貿易相手国に対する不透明性だけがある」と述べ、批准を見合わせる必要性を訴えた。
EUと米国の物品・サービス貿易額は2024年に1兆7000億ユーロ、1日平均46億ユーロに上る。EUから米国への主要輸出品目は医薬品、自動車、航空機、化学製品、医療機器、ワインやスピリッツなど。米国からEUへの輸出では専門的サービス、クラウドインフラ、エネルギー資源、航空機、車両などが含まれている。こうした巨大な経済関係の中で一方的な関税政策の変更は、国際市場の信頼性や供給網の安定性に悪影響を与える可能性があるとEU側は警告している。
EUは貿易交渉や報復措置を含むさまざまな手段を講じているが、とりわけ「対抗強制措置」と呼ばれる武器を通じて、不当な圧力をかける国や企業に対し貿易・投資制限を課すことが可能である。この制度は対象国のEU市場へのアクセス制限や公共入札からの排除、外資直接投資の制限など多岐にわたり、最も深刻な場合には米企業に対して数十億ドル規模の損失をもたらす可能性もあるとしている。
EUはこれまで、トランプ関税の混乱を避けつつ、米国との協力関係を維持する意向を示してきた。しかし、今回の最高裁判決と米側の対応は、EUにとって取り決めの信頼性や国際貿易ルールの尊重をめぐる重大な課題となっている。
