EU・メルコスール自由貿易協定、協議進展か、反発も
EUは7日、27加盟国の農業相会合をブリュッセルで開催し、自由貿易協定に伴う農業分野への影響と、輸出入拡大の潜在的利益について協議した。
と欧州委員会のフォンデアライエン委員長(AP通信).jpg)
EUが長年議論されてきた南米諸国との自由貿易協定に向けた協議を再び前進させている。対象となるのは南米南部共同市場(メルコスール)に加盟するブラジル、アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ、ウルグアイの5カ国で、協定は一連の交渉を経て25年以上にわたる大規模な貿易取引の枠組み構築を目指している。
EUは7日、27加盟国の農業相会合をブリュッセルで開催し、自由貿易協定に伴う農業分野への影響と、輸出入拡大の潜在的利益について協議した。EUの通商交渉担当者は声明で、協定が実現すればEUの農産物輸出が最大で50%増加する可能性があると述べた。協定は両地域の関税を段階的に撤廃し、780万人規模の市場と世界のGDPの約4分の1を包括する巨大な自由貿易圏が形成される見込みだという。
協定案は昨年12月、フランスなどの強い反対により一時行き詰まった経緯がある。フランス政府は協定がEU内の牛肉、鶏肉、砂糖、エタノール、蜂蜜などの農産物市場を脅かすとして反対姿勢を明確にし、十分な安全装置なくして承認するべきではないと主張している。
一方、イタリアのメローニ(Giorgia Meloni)首相の支持がカギを握るとの見方がある。昨年末の署名予定が頓挫した後、EUは農家向け支援の前倒し資金提供案など新たな保護策を導入し、ためらいの強い加盟国を説得しようとしている。EUの執行機関である欧州委員会は農産物輸入がEU市場に与える衝撃を軽減するため、自動的に発動する「半自動的トリガー閾値」などの安全措置も盛り込む方針である。
協定案がまとまれば、パラグアイで1月12日に署名される可能性が取りざたされている。しかし署名後も欧州議会の承認が必要で、全加盟国および議会の賛同が得られるかは確約されていない。フランスは引き続き懸念を表明しており、EU内での強い抵抗が残っている。
支持者は、この自由貿易協定が米国や中国との間で高まる商業的緊張の中で、EUにとって重要な戦略的一手になると主張する。特に米国が保護主義的な措置を取る中、EUは多様な輸出先確保と貿易パートナーの拡大を目指しており、メルコスールとの協定はその柱になると位置付けられている。
反対派は協定が環境規制の後退やEU農業セクターの衰退を招く恐れがあると警告する。フランスやポーランドなどは、環境基準や検査体制の強化を求め、農家の保護と産業競争力のバランスが今後の焦点となる。
メルコスール側は協定に前向きで、南米各国の農業界も欧州市場へのアクセス拡大を歓迎している。ただし、各国間で政治的立場に差異があることから、交渉は依然として慎重な調整を要する状況だ。
EUメルコスール間の自由貿易協定は、世界経済における地域間の貿易圏の再編を促す可能性を秘める一方で、加盟国内の利害調整という複雑な課題に直面している。署名と承認のプロセスが今後どう展開するかが注目される。
