SHARE:

EU、高リスク通信機器メーカーの段階的排除を計画

この提案はドラフトとしてEUの執行機関である欧州委員会が示したもので、サイバーセキュリティの強化を目的としており、中国企業を念頭に置いたものと広く受け止められている。
ベルギー、ブリュッセルのEU本部(Getty Images)

EUは20日、加盟27か国の重要インフラから「高リスク」とされる国の企業が供給する電気通信機器を段階的に排除する計画を発表した。この提案はドラフトとしてEUの執行機関である欧州委員会が示したもので、サイバーセキュリティの強化を目的としており、中国企業を念頭に置いたものと広く受け止められている。

委員会がまとめた草案によると、いわゆる「高リスク」供給者が製造する機器はまず次世代の高速通信網などの中核インフラから3年以内に段階的に撤去される見通しだ。草案自体には国名や企業名は明記されていないものの、過去に「高リスク」の例として名前が挙げられてきた中国の通信機器大手ファーウェイ)やZTEが念頭にあるとみられている。この両社は米国では既に同様の理由で新規機器の導入が禁止されている。

EUはこれまで5Gネットワークのサイバーセキュリティに関し、加盟各国に「高リスク」ベンダー排除を推奨するガイドラインを設けてきたが、法的拘束力はなく、国によって対応はまちまちだった。ドイツやスペインなど一部の国は中国製機器排除に慎重だった一方、スウェーデンなどは早期に排除を進めてきた。今回の措置はそのような自主的な対応から一歩進め、義務化する点に大きな意味がある。

提案では段階的撤去の対象となるのは電気通信網にとどまらず、国境検問所のセキュリティスキャナーや水道システム、医療機器など、多岐にわたる重要分野に広がる可能性があるとしている。ただし、詳細な対象範囲や撤去の期限は今後の議論で詰められる見込みだ。

欧州委員会の技術主権、安全保障、民主主義担当副委員長は20日、欧州議会での説明で、この提案は「EU市民と企業を保護し、社会経済の重要セクターを支える情報通信技術(ICT)サプライチェーンの安全性を確保するためのものだ」と述べ、サイバー攻撃や外国の干渉リスクへの対応を強調した。最終的な法制化には欧州議会と各加盟国の承認が必要となる。

中国政府や対象となる企業側はこれに反発している。ファーウェイは声明で、「国籍に基づいて非EU企業を制限・排除する立法案は公平性や差別禁止、比例性といったEUの基本原則及び世界貿易機関(WTO)の義務に違反する」と批判した。欧州市場で合法的に事業を展開している企業として正当な利益を守る権利があると主張している。

一方で、この動きは単なる通信機器から広範なインフラにわたる中国依存の是正を図るもので、米国との歩調合わせという側面もあるとの見方がある。米国は既に中国企業の機器を自国の通信網から排除しており、EUの今回の提案は西側諸国が共通の安全基準を追求する動きの一環と受け止められている。

この提案が実現すれば、EU内でのICT機器の調達やネットワーク構築のあり方に大きな変化をもたらす可能性があると専門家は指摘している。既存の設備の置き換えに伴うコストや新たな供給源の確保、産業競争力への影響などが今後の議論の焦点となる見込みだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします