◎EU加盟国のブルガリアは北マケドニアとアルバニアのEU加盟を阻んでいる。
欧州理事会のミシェル(Charles Michel)議長は5日、北マケドニア政府と国民に対し、長らく延期されている同国のEU加盟交渉を阻んでいる隣国ブルガリアとの紛争を終結させるために、フランスが提案した妥協案を支持するよう促した。
マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は先週のNATO首脳会議で妥協案の存在を示唆し、北マケドニア国民の怒りに火をつけた。
首都スコピエではフランスの提案に反対する抗議デモが行われ、一部の暴徒と機動隊が衝突する事態に発展した。
マクロン氏は妥協案の詳細を明らかにしていないが、「北マケドニア政府は問題を解決できると信じている」と述べ、北マケドニアがブルガリアの要求を受け入れると示唆した。
EU加盟国のブルガリアは北マケドニアとアルバニアのEU加盟を阻んでいる。
ブルガリアは北マケドニアと言語や民族をめぐって対立し、アルバニアもその流れで加盟交渉を阻まれることになった。
北マケドニア政府は先週、マクロン氏の提案を「強固」と評したが、主要野党は同国の歴史、言語、アイデンティティー、文化が失われると拒否反応を示している。
AP通信によると、スコピエのデモ隊数百人は5日遅くに抗議デモを再開し、一部の抗議者が警察に石を投げつけたため、にらみ合いに発展した。
北マケドニア政府とペンダロフスキ(Stevo Pendarovski)大統領は、ブルガリアの少数民族を憲法で公式に認めるという提案を支持している。
しかし、中道右派の野党「国家統一民主党(VMRO-DPMNE)」、国際法の専門家、市民団体などはこの提案を拒否し、「ブルガリアの要求を飲めば北マケドニアのアイデンティティーや遺産に自ら異議を唱えることになる」と主張している。
ミシェル氏は北マケドニアのコバチェフスキ(Dimitar Kovachevski)首相との共同記者会見で、「フランスの提案を逃してはならない」と述べた。
またミシェル氏は、「北マケドニアがこの提案を受け入れれば、数日以内にEU加盟交渉を開始する道が開かれるだろう」と述べ、理解を求めた。
コバチェフスキ氏はフランスの提案への支持を改めて表明し、「我々の目的は加盟交渉を開始することだ」と強調した。
しかし、首都スコピエの議会議事堂周辺に集まった数万人はフランスの提案を拒否し、4日遅くのデモでは警察に石、卵、トマトなどを投げつけた。
機動隊は議会議事堂に押し入ろうとした数百人を何とか抑えた。報道によると、警察官少なくとも4人が負傷したという。
ブルガリアはフランスの提案を正式に受け入れている。北マケドニア政府は議会の承認を得なければならない。
ブルガリア政府は北マケドニアに、ブルガリア語がルーツであることと、ブルガリア人少数民族を憲法で正式に認め、ブルガリアに対するヘイトスピーチを法律で禁じるよう要求している。
北マケドニアは17年前にEU加盟候補国入りし、2020年に加盟交渉開始の許可が下りたが、交渉開始時期は決まっていない。
ブルガリアが異議を唱える前、北マケドニアはもうひとつ隣国ギリシャとの数十年にわたる紛争を解決し、国名「マケドニア」から北マケドニアに変更した。