EU、イラン革命防衛隊を「テロ組織」に指定、デモ弾圧受け
この決定はイラン当局による全国規模の抗議運動への激しい弾圧を受けたものだとしている。
.jpg)
EUは29日、イランの準軍事組織である革命防衛隊(IRGC)をテロ組織に指定したと発表した。カラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は記者会見で、EU加盟国の外相がこの決定に全会一致で合意したと明らかにした。この決定はイラン当局による全国規模の抗議運動への激しい弾圧を受けたものだとしている。
IRGCは1979年のイスラム革命後に設立された準軍事組織で、正規軍とは別に最高指導者に直接忠誠を誓う存在として国家防衛及び政治的影響力を強めてきた。国内の治安維持のみならず、弾道ミサイル計画や海外での影響力拡大にも深く関与しているという。
EUはIRGCの指定に合わせ、暴力的な抗議弾圧に関与したとして15人のイラン高官や同組織の幹部らに対して資産凍結や渡航禁止などの制裁措置を発動した。また、国内のオンライン検閲や監視に関与する複数の関連組織にも制裁対象を拡大している。これらの措置は象徴的な意味合いが強いものの、イランへの国際的圧力を強める狙いがある。
カラス氏は声明で、「自国民を数千人も殺害するような政権は終焉に向かっている」と述べ、EUとして暴力行為を看過しない姿勢を強調した。EUがIRGCをアルカイダ、ハマス、イスラム国(ISIS)と同等のテロ組織として扱うことは、これまでのEU外交政策では極めて異例の対応であり、加盟27カ国の一致が不可欠であった。
今回の決定は欧米諸国がイランに対する対応を強化する流れの一環でもある。米国やカナダ、オーストラリアなどはすでにIRGCをテロ組織に指定しており、国際的な孤立を深めてきた。加えて、米国は抗議弾圧への対応として中東地域に空母打撃群や誘導ミサイル駆逐艦を配備し、軍事的緊張が高まっているとの報道もある。ただし、米政府が実際に軍事行動に踏み切るかは不透明だ。
一方、イラン政府はEUの決定を強く非難し、「プロパガンダ的な行為」にすぎないと反発している。イランはこうした動きが地域の不安定化を招き、エネルギー価格の上昇を招く可能性があるとして警告しているとの報道もある。
イラン国内では昨年末から今年にかけて、物価高騰や経済的困窮に対する抗議活動が広まり、当局による過酷な弾圧が続いた。人権団体などによると、この弾圧で数千人規模の死者が出ているとされ、国際社会の非難が高まっていた。このため、EUの今回のテロ指定は国際的圧力の象徴的な強化として受け止められている。
EUの決定は外交関係やエネルギー市場への影響を懸念する声もある中で、対イラン政策の転換点となる可能性がある。これを受け、今後の中東情勢やEUとイラン間の外交的な対話の行方に注目が集まっている。
