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EU首脳会議、各国首脳がハンガリーを非難、ウクライナ支援拒否受け


ブリュッセルで19日に開かれた首脳会議では、ドイツ首相やベルギー、オーストリアなどの首脳が相次いで批判を表明した。
2026年3月19日/ベルギー、ブリュッセルのEU本部、ハンガリーのオルバン首相(右)とマクロン仏大統領(AP通信)

EU首脳会議でハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相の対応が強い批判を浴びている。ウクライナ支援のための巨額融資を拒否したことに対し、各国首脳は「選挙目的の政治的行動だ」と反発を強め、EU内の結束が揺らいでいる。

問題となっているのは、EUが合意していた900億ユーロ規模の対ウクライナ融資である。ロシアとの戦争が長期化する中、財政難に直面するウクライナにとっては、国家運営や軍事支出を支える重要な資金と位置付けられている。EUは昨年末、この支援を全会一致で承認していたが、その後ハンガリーが反対に転じ、実施が滞る事態となった。

ブリュッセルで19日に開かれた首脳会議では、ドイツ首相やベルギーオーストリアなどの首脳が相次いで批判を表明した。フィンランド政府はオルバン氏について「合意を裏切った」と非難し、EUの信頼関係を損なう行為だと指摘した。
各国はすでに全加盟国で決定した支援を履行することがEUの原則だと強調し、個別の政治事情で覆すことは許されないとの立場を示している。

オルバン氏が拒否を続ける背景には、国内の政治事情があるとみられている。ハンガリーは4月に総選挙を控えており、世論調査で苦戦が伝えられる同氏は、ウクライナ支援に批判的な姿勢を打ち出すことで支持固めを図っていると指摘されている。
実際、オルバン氏はウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領やEU首脳を「ハンガリーを戦争に巻き込む存在」と批判し、自身の再選こそが安全保障の鍵だと主張してきた。

さらに対立の背景にはエネルギー問題もある。ロシア産原油を運ぶ「ドルジバ・パイプライン」を巡り、供給停止をめぐるウクライナとの対立が続いており、オルバン氏はこれを理由に支援凍結を正当化している。しかしEU側は、パイプラインの問題はロシアの攻撃によるもので、支援問題と切り離すべきだと反論している。

EUにとって今回の対立は深刻である。ウクライナ経済は戦争で大きく損なわれ、春までに資金が届かなければ財政危機に陥る可能性もある。
そのため、ハンガリーの拒否権を回避する代替策の検討も進められており、25カ国が支持する形で資金供与を進める案も浮上している。

EUは原則として全会一致を重視する仕組みで、今回の対立は制度的な限界も浮き彫りにした。加盟国間の利害や国内政治がEU全体の意思決定を左右する構造は、今後も課題として残る可能性が高い。

ウクライナ支援をめぐる今回の対立は単なる政策にとどまらず、EUの結束と信頼性そのものを問う問題となっている。選挙を控えたハンガリーと、支援継続を急ぐEU諸国との溝がどこまで埋まるのか、今後の動向が注目される。

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