欧州議会、メルコスール自由貿易協定の批准手続きを停止、対立深まる
採決はフランス東部ストラスブールの欧州議会で行われ、賛成334ー反対324(棄権11)の僅差で法的審査を求める決議が可決された。
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欧州議会は21日、南米南部共同市場(メルコスール:アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)との自由貿易協定の批准手続きを一時的に停止し、EU法に沿っているかどうかを欧州司法裁判所(ECJ)に判断を仰ぐことを決定した。採決はフランス東部ストラスブールの欧州議会で行われ、賛成334ー反対324(棄権11)の僅差で法的審査を求める決議が可決された。これにより議会はECJの判断が示されるまで協定の最終承認を行えなくなり、審査にはかなりの時間を要する可能性がある。
EUとメルコスール諸国によるこの自由貿易協定は締結までに25年以上を費やした懸案であり、1月9日にEU加盟27カ国の首脳が主要部分への署名を完了させていた。関税撤廃などを通じてアルゼンチンの牛肉からドイツ製自動車に至るまでの貿易障壁を段階的に削減し、7億人を超える市場間の経済結び付きを強化することが目的となっている。
協定支持派は、南米および欧州の工業・農畜産業にとって双方に恩恵があると強調してきた。とりわけ経済連携強化により世界的な保護主義や貿易摩擦が深刻化する中で、EUの独立性と競争力を高める機会になるとの見方が示されていた。また、ドイツ政府など一部の欧州指導者は協定の合法性と重要性を訴え、早期批准を支持していた。
しかし反対派は法的および政策的懸念を指摘し、特に農業分野の保護強化を求めてきた。フランスはEU最大の農業生産国として自国農家の競争力低下への懸念を強く表明し、批准手続きの遅延や環境・労働基準への配慮を主張した。今回の議会決議を歓迎する声明も出ており、法的審査によってEU法との整合性を確保する必要性があるとの立場が示された。
EUの執行機関である欧州委員会は議会の決定を「「遺憾」と表明しつつも、協定を暫定的に適用する権限を保持していると述べた。これは裁判所の判断が出るまでの間、貿易協定の一部を実施する可能性を示唆しているもので、加盟国首脳は今後の対応について緊急サミットで議論する見込みである。
議会内でも強い対立が見られ、貿易委員会の責任者は法的審査を求める今回の動きが経済的利益に損害を与えるとの批判を展開している。支持者と反対者の間で意見の隔たりが大きく、EU内の政治的分断の象徴ともなっている。メルコスール側では協定の批准が進むとみられており、欧州側の動きは今後の国際貿易環境に影響を与える可能性がある。
