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EUの対ロシア制裁第20弾採択できず、ハンガリーが阻止

EUがロシアに対する経済制裁を導入して以来、ほとんどの加盟国はロシア産エネルギー輸入を大幅に削減したが、ハンガリーやスロバキアは例外的に輸入を継続してきた。
2026年2月23日/ベルギー、ブリュッセルのEU本部、ハンガリーのシーヤールトー外相(AP通信)

EUは23日、ブリュッセルで開かれたEU外相会合で、ロシアに対する新たな制裁措置の採択に失敗した。加盟27カ国の合意が必要な対ロ制裁の第20弾は直前にハンガリーの反対が示され、成立に至らなかった。この制裁はロシアの「影の船団」やエネルギー収入を対象とし、ウクライナ支援のための巨額融資とセットで議論されていたが、両方とも阻止された。

EUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は記者会見で、「20回目の制裁パッケージで合意に達しなかった」と述べた。制裁案に加えてウクライナへの900億ユーロ規模の融資案も進められていたが、両案ともハンガリーの反対によって停滞している。

ハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相はロシアから同国への原油供給が停止していることを問題視し、ウクライナがパイプラインの修理を「意図的に遅らせている」と非難するなど、ウクライナ側に責任を押し付ける形で制裁阻止に動いた。この原油はドルジバ・パイプラインを通じて供給され、ハンガリーと近隣のスロバキアは例外的にロシア産エネルギーに依存している。すなわち、原油供給が再開されない限り、ハンガリーは制裁案やウクライナ支援融資案への承認を拒否する方針を示している。

オルバン政権のこうした動きは、今年4月に予定されている総選挙を控えた政治戦略とも見られており、国内のエネルギー安全保障への懸念を強調する形で支持基盤の結束を狙っているとの分析も出ている。ハンガリーとスロバキアはEU内でも対露制裁やウクライナ支援に慎重・批判的な立場を取る例が目立ち、今回の反対表明はEUの内部対立を改めて浮き彫りにした。

他方、ドイツやフランスなど多くの加盟国はロシアのウクライナ侵攻を「戦争」と位置付け、経済的圧力を強化してロシアに戦争継続のコストを高めさせる必要性を訴えている。ドイツ首相は「支援を緩めてはならない」と強調し、フランス大統領も「ウクライナ支援の決意に揺るぎはない」と表明した。ウクライナ側も、EUからの融資や制裁措置が戦況や経済を支える上で不可欠だとしている。

EUがロシアに対する経済制裁を導入して以来、ほとんどの加盟国はロシア産エネルギー輸入を大幅に削減したが、ハンガリーやスロバキアは例外的に輸入を継続してきた。このため、エネルギーと外交政策を巡る意見対立は今後も続く可能性がある。加盟国間のコンセンサス形成が難航する中、ウクライナ支援や制裁の枠組みを巡る議論は一段と複雑化している。

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