EU航空業界が警告「ホルムズ海峡閉鎖が続けば大変なことに...」
欧州はジェット燃料の相当量を中東地域からの輸入に依存し、特にホルムズ海峡を経由する輸送は供給の重要な柱となっている。
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欧州の航空業界は10日、イラン情勢の悪化に伴い閉鎖状態が続くホルムズ海峡をめぐり、同海峡が早期に再開されない場合、EU域内の空港で航空燃料(ジェット燃料)が不足する可能性があると警告した。航空各社の運航に支障が出る「構造的な供給危機」に発展する恐れがあるとして、EUの執行機関である欧州委員会に対策を求めている。
問題の背景には中東情勢の緊張によりホルムズ海峡を通過する石油・精製燃料の輸送が大幅に減少していることがある。同海峡は世界のエネルギー輸送の要衝であり、欧州向けの航空燃料や原油の重要な供給ルートでもある。封鎖や通航制限が続いたことで、欧州の燃料供給網はすでに逼迫しつつある。
航空業界団体「国際空港評議会(ACI)ヨーロッパ」は欧州委員会の運輸担当委員宛ての書簡で、現状のままでは「今後3週間以内にシステミックなジェット燃料不足が現実化する可能性がある」と指摘した。これは一部空港や航空会社の一時的な問題ではなく、欧州全体の航空ネットワークに波及する深刻な供給危機を意味する。
欧州はジェット燃料の相当量を中東地域からの輸入に依存し、特にホルムズ海峡を経由する輸送は供給の重要な柱となっている。通常時であれば世界の海上輸送において同海峡は石油取引の要衝であり、欧州の燃料価格安定にも寄与してきた。しかし現在は通航量が激減し、物流の滞りが長期化している。
この影響で欧州各地の空港では燃料在庫の減少が報告され始めている。一部では航空会社への給油制限や供給調整が行われる可能性も指摘され、夏の旅行シーズンへの影響を懸念する声が出ている。ジェット燃料は航空会社の最大のコスト要因の一つで、供給不足が進めば運賃上昇や便数削減につながる可能性が高い。
また、燃料供給の逼迫は単なる価格上昇にとどまらず、運航計画そのものに影響を及ぼす可能性がある。各社は長距離路線を中心に運航調整や減便を迫られるリスクを抱え、欧州の観光産業やビジネス移動にも波及する懸念がある。
EU側も状況を注視し、備蓄の活用や代替供給ルートの確保などの対応が進められている。しかし、精製能力や物流網の制約から短期間での代替は容易ではないとの見方が強い。
業界関係者は仮にホルムズ海峡の不安定な状況が継続すれば、燃料不足は一時的な混乱ではなく構造的な問題に発展すると警告している。航空需要が回復する中で供給制約が続けば、欧州の航空業界全体に長期的な影響を及ぼす可能性がある。
ホルムズ海峡の地政学リスクはエネルギー市場のみならず航空輸送や観光経済にも直結し、今後の情勢次第では欧州の移動インフラ全体を揺るがす要因となり得る状況となっている。
