◎政府はこの決定について、「記念碑が敵意を増幅する可能性があるため」と説明している。
エストニア政府は16日、旧ソビエト時代に設置された記念碑を公共の場から撤去すると発表した。
エストニア公共放送(ERR)によると、ロシア国境近くの都市ナルバにある旧ソ連の戦車「T34」の記念碑は戦争博物館で保管されることになるという。
政府はこの決定について、「記念碑が敵意を増幅する可能性があるため」と説明している。
ナルバはエストニア第三の都市で、人口約6万人のうちおよそ97%がロシア語を話す。
エストニアはソ連が崩壊した1991年に主権を回復し、旧ソ連構成国を代表する民主主義国家となった。
公共放送ERRは16日、戦車像が16日早朝に台座から降ろされ、軍用トレーラーに積み込まれたと報じた。当局は記念碑周辺への立ち入りを制限している。
カラス(Kaja Kallas)首相は声明で、「ロシアに過去を利用して平和を乱す機会を与えてはならない」と述べ、記念碑が地域の緊張を煽っていると指摘した。
またカラス氏は記念碑をめぐる緊張と混乱の高まりを考慮すると、公共の秩序と国内の安全を確保するために迅速に行動しなければならないという結論に達したと説明した。
外務省報道官は戦車像について、「ロシアの占領を美化するために建てられたものであり、公共スペースにふさわしくない」と述べた。
ERRによると、第二次世界大戦の墓地も移設される予定だという。一部の専門家は「墓地移設は緊張を劇的に高める可能性がある」と指摘している。
ロシア大統領府は先週、エストニアの計画を厳しく非難した。
ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は記念碑撤去を「言語道断」と一蹴し、欧州をファシズムから救った記念を傷つけるべきではないと主張した。
エストニア政府はロシア人観光客向けのビザ発行停止をEU同盟国に求めており、まもなくロシア人に発行したビザ約5万部を停止する予定だ。
外務省報道官はSNSに、「ロシアの市民もウクライナで繰り広げられている残虐行為の道徳的責任を負っている」と投稿している。
ラトビア、リトアニア、チェコはロシア人に対するビザの発行を停止(例外あり)している。NATO加盟申請中のフィンランドはロシア人に発行するビザの数を従来の10%に減らしている。