◎8月27日時点で立候補を許可された候補者は、元州監査人でエストニア国立博物館の館長を務めるアラル・カリス氏のみ。
エストニアの現地メディアによると、来週予定されている大統領選挙の立候補者は1人になる可能性が高いという。
エストニアの大統領は直接投票(選挙)ではなく議会投票で選出される。議会投票で議員定数108人の3分の2以上、68議席を獲得する候補者がいなければ、各地域を代表する208人の選挙人団による特別な投票に移行する。
大統領の任期は5年で、1回再選可能。エストニア初の女性大統領であるケルスティ・カリユライド大統領の任期は10月10日に満了する。
大統領は主に外交、首相は内政を担当する。なお、現職のカーヤ・カラス首相も女性。エストニアは世界で唯一の女性が大統領と首相を同時に務める国である。
8月27日時点で立候補を許可された候補者は、元州監査人でエストニア国立博物館の館長を務めるアラル・カリス氏のみ。カリス氏は21人の議員から支持を得た。立候補の締め切り日は8月28日。
現職のカリユライド大統領は国民からは多くの支持を集めているが、同僚や議会に対する痛烈な発言の影響で議員の支持を得ることはほとんどできなかった。
中道右派の連立政権を束ねるカラス首相の改革党と中央党はカリス氏を支持している。
改革党と中央党の議員数は59人であり、野党9人の支持を得る可能性は高いと見込まれている。
ポピュリストの野党EKRE党も独自の候補者を提案したが、立候補に必要な支持を得ることはできず、他の野党がサポートに入る可能性も低いと伝えられている。
野党祖国党は25日、「いくつかの問題でカリス氏と意見を共有しており、議員12人には自由投票権を与えた」と述べた。
野党社会民主党も議員が少なすぎるため、独自の候補者を擁立することはできなかった。地元メディアによると、同党の議員10人はカリス氏支持とカリユライド大統領支持に分かれているという。
議会投票は8月30日に行われる予定。カリス氏が68票を獲得できなかった場合は、9月の選挙人投票に移行する。
<エストニアの基本情報>
・人口約120万人の先進国
・旧ソビエト連邦とは思えない民主的な国
・旧ソ連初のユーロ採用国