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「エプスタイン文書」追加公開、欧州でも波紋広がる

今回公開されたのは、司法省がエプスタイン氏の捜査過程で蓄積した300万ページ超の文書に加え、約2000本の動画、約18万枚の画像で、エプスタイン氏が有力者や著名人と交わしたやり取りの一部が含まれている。
2026年1月30日/米司法省が公開したエプスタイン文書の一部(AP通信)

司法省が故ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Edward Epstein)氏の捜査に関連する膨大な文書・資料を新たに公開したことを受け、国際的な波紋が広がっている。この資料公開を契機に、スロバキアで政府高官の辞任が表明されるとともに、イギリスでは元王子に対して米当局への全面的な協力を求める声が強まっている。

今回公開されたのは、司法省がエプスタイン氏の捜査過程で蓄積した300万ページ超の文書に加え、約2000本の動画、約18万枚の画像で、エプスタイン氏が有力者や著名人と交わしたやり取りの一部が含まれている。これらはエプスタイン文書として整理され、司法省のウェブサイトで閲覧可能となった。

この資料公開を受け、スロバキアのフィツォ(Robert Fico)首相は1月31日、国家安全保障顧問の辞表を受理したと発表した。この顧問は国連総会会長も務めた経験を持つ外交官だが、公開された写真や電子メールで、エプスタイン氏と2009年以降に会合を持っていたことが明らかになった。顧問は違法性を否定し、エプスタイン氏との接触は外交的な職務の一環だったと説明しているが、政治的圧力の高まりを受け辞意を表明した。

一方、イギリスでは元王子であるアンドルー氏に対する批判が再燃している。スターマー(Keir Starmer)首相は1月31日、エプスタイン氏との長年にわたる関係について米国捜査当局に協力し、自身が知る事実を明らかにすべきだと訴えた。アンドルー氏はこれまで米下院監視委員会の公聴会出席に応じておらず、スターマー氏はこれを踏まえ米側との協調を強く促している。

資料には、エプスタイン氏とアンドルー氏の個人的なやり取りが含まれ、2010年にエプスタイン氏がアンドルー氏にロシア人女性を紹介しようとしていた疑いや、その他複数の交友関係を示唆する電子メールの存在も報じられている。これらの記録はアンドルー氏に対する追加の説明責任を求める根拠として注目されている。

公開された文書は、エプスタイン氏がトランプ大統領やビル・ゲイツ氏、イーロン・マスク氏、スティーブ・バノン元ホワイトハウス戦略官らとの関係を示す記録も含んでおり、政治・ビジネス・慈善活動の各界にまたがる広範なネットワークが浮かび上がっている。これらについて関係者の詳細な関与は明らかになっていないものの、資料の公開は世界的な論争を引き起こしている。

一部のエプスタイン被害者支援団体は、公開された資料について批判を強めている。彼らは、被害者の特定につながる情報が含まれる一方で、エプスタイン氏を支援した可能性のある関係者の名前や関与については黒塗りなどの処理がなされ、透明性に欠けるとしている。また、米連邦議会の民主党議員は修正されていない未編集版の公開を求める法的手続きを進めている。

エプスタイン事件はこれまでにも国際的な注目を集めてきたが、今回の大量資料公開は事件全体の理解を深める一方で、当事者や関係国政府への政治的圧力を強める結果となっている。特に欧州諸国では、政治的責任の所在や説明責任の確立が今後の焦点となる見通しである。

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