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フランス全土で緊縮財政に抗議するデモ、エッフェル塔閉鎖

労組はルコルニュ氏に対し、前政権が提案した予算案を破り捨て、議会を解散するよう求めてきた。
2025年10月2日/フランス、首都パリ、政府与党に抗議するデモ行進(AP通信)

フランス全土で2日、政府の歳出削減に抗議するデモが行われた。

同国最大の労働組合CGTによると、全国200以上の都市や町でデモ行進や集会が開かれたという。

パリのデモ隊はルコルニュ(Sebastien Lecornu)首相とマクロン(Emmanuel Macron)大統領に対し、議会の解散と富裕層への増税を要求した。

パリでは10日午後、数千人の労働者、退職者、学生が市内を行進した。エッフェル塔は声明で、「ストライキのため閉鎖されている」と訪問者に伝えた。

CGTやCFDT(フランス民主労働同盟)などの労組は先月から抗議デモ・ストを呼びかけている。

労組はルコルニュ氏に対し、前政権が提案した予算案を破り捨て、議会を解散するよう求めてきた。この案には社会保障の凍結や緊縮策が含まれており、低所得者や中産階級の購買力をさらに低下させるとの批判が相次いでいる。また富裕層への増税も要求している。

先月就任したルコルニュ氏は予算案の詳細をまだ明らかにしておらず、閣僚人事も未発表だ。これは数日中に発表される見通しである。

与野党の分断が続く議会は、年末までに予算案を審議する予定である。

先月のデモは一部が暴徒化し、全国で数百人が逮捕された。

フランスは高度に発展した社会保障制度を有しており、医療、年金、失業保険などに膨大な財政資源が投じられる。税収は主に個人所得税、法人税、付加価値税(VAT)などによって賄われる。

近年、フランス政府は財政赤字と公的債務の増加に直面しており、EUの財政基準を満たすために、歳出削減や税制改革を進めている。特にマクロン政権下では、労働市場の改革や企業への税負担軽減を目指した政策が実施され、経済の競争力向上を図った。しかし、社会保障制度への支出が依然として高く、年金改革など敏感な問題も抱えている。

また、フランスはEUの一員として、共同の通貨ユーロを使用しているため、ユーロ圏内での財政政策の調整も重要な要素となる。財政政策においては、インフレ抑制や経済成長促進のため、金融政策と連携しつつ、適切なバランスを取ることが求められている。

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