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英リバプール車暴走事件、被告に懲役21年の実刑判決

この事件は5月26日に発生。多数のサポーターがプレミアリーグ制覇を祝うために集まっていた最中に車両が群衆に突っ込んだ。
2025年5月26日/英イングランド、リバプール市、車が群衆に突っ込んだ現場(AP通信)

リバプールの裁判所は16日、サッカーチームの優勝パレードを祝う人々の群衆に車で突入し、130人以上を負傷させたとして起訴されたポール・ドイル(Paul Doyle、54歳)被告に懲役21年6か月の実刑判決を言い渡した。

この事件は5月26日に発生。多数のサポーターがプレミアリーグ制覇を祝うために集まっていた最中に車両が群衆に突っ込んだ。

判事は被告に対し、「あなたの行為は常識的な理解をはるかに超えており、歩行者の列に車両を繰り返し突入させたことは、これまで本法廷で見られたことのない規模の恐怖と破壊をもたらした」と述べた。

被告は11月に31件の罪状すべてについて罪を認めていた。

事件当日はリバプールFCが2024–25シーズンのプレミアリーグ制覇を祝うため、沿道に数多くのサポーターが詰めかけていた。被告は自身の車で交通規制区域に入り込み、約2分間にわたって混雑した群衆の中を進み、多くの人々をはねたり押しのけたりしながら走行した。被害者には乳児や高齢者も含まれ、50人以上が病院に緊急搬送された

法廷では多くの被害者の陳述が読み上げられ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や日常生活への深刻な影響が語られた。ある被害者は、「この日が人生で最も幸せな日になるはずだったが、一瞬で最悪の日になった」と証言した。

裁判で提出された映像には、人々が車の前で必死に逃げ惑い、車のボンネットに投げ出される様子が映っており、判事は「映像の衝撃は言葉では伝えきれない」と述べた。

検察は被告がただ苛立ちを感じた結果として暴走したと主張。被告は当日、パレードを見に来ていた友人らを迎えに行こうとしていたとされるが、渋滞にいら立ち、群衆をかき分けて進もうとした際に怒りに駆られたという。

判決公判で被告は涙を流し「家族の生活を台無しにした」と話したが、判事はその言い訳を退け、「恐怖やパニックではなく説明のつかない激しい怒りによるものだ」と指摘した。

裁判ではまた、事件の解決に貢献した一般市民に対する言及もあった。ある傍観者が車内に入り込み、ギアをパーキングに入れて車を停止させた行為が、さらなる重大な被害を防ぐうえで重要だったと検察側は述べた。この行動により、被害は最小限で食い止められた可能性が高いと評価されている。

被告は元英国海兵隊員であり、暴力的な過去を持つがその後の30年間は非行歴はなかったと報じられている。しかし裁判所は、過去の更生歴にもかかわらず、本件の重大性を鑑みて重罰を科すべきだと判断した。

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