◎一部の批評家は民主主義サミットを「分断サミット」と呼び批判した。
米国のジョー・バイデン大統領は12月9日(東部標準時)に史上初となる民主主義サミットを主催する予定であり、世界の民主主義を確固たるものにするコミットメントを発表すると期待されている。
しかし、サミットから除外されたロシアと中国は権威主義を強化し、ウクライナ危機を含む世界を揺るがす主要な問題はバイデン大統領の就任以来悪化の一途をたどっているように見える。
さらに、サミットの主催国である米国内でも民主主義を揺るがす様々な問題が噴出している。一部の批評家は民主主義サミットを「分断サミット」と呼び批判した。
共和党主導の州は有色人種や移民の参政権を新たな州法で制限し、中絶の権利を却下し、マスクの着用を求める学校に罰金を科し、ワクチン接種の義務化阻止に動いている。
バイデン大統領は1月20日の就任演説で、「米国の民主主義は米国民が引き起こした嘘、怒り、憎しみ、恐れを克服することができますか?」と述べ、1月6日の議会議事堂襲撃事件や昨年のブラック・ライヴズ・マターに言及した。
バイデン大統領は演説の中で、「米国の敵、世界の独裁者たちは、米国の民主主義が崩壊する方に賭けています」と述べた。
国際人権NGOフリーダム・ハウスのマイケル・アブラモウィッツCEOはAP通信のインタビューの中で、「米国は民主主義を確立したが、それは近年傷ついている」と語った。「西側は世界に民主主義を広げ、確立することが非常に難しいことを痛感しています...」
ロシアはウクライナ東部の兵力を増強し、米国とNATO(北大西洋条約機構)に圧力をかけている。
中国は香港、台湾、新疆ウイグル自治区のイスラム系少数民族などに対する人権侵害で国際社会から厳しく非難されているが、対応をあらためる気は微塵もないように見える。
バイデン大統領は批評家や支持者から「米国はもっとうまくやらなければならない」という圧力を受け、権威主義に立ち向かう民主主義サミットを企画したが、それは東西の緊張を緩和するどころか、さらに悪化させる可能性がある。
民主主義サミットには米国の要請を受けた108の国と地域が参加する予定である。AP通信などによると、バイデン大統領は参政権の重要性について話す予定だという。バイデン大統領は以前の声明で参政権を「基本的権利」と呼び、それを否定する州法を「米国にあらず」と非難した。
民主党は1月6日の事件に基づく選挙人投票法の改正法案を下院に提出したが、共和党は難色を示しており、上院の通過は困難と予想されている。上院で立法案を可決するためには共和党の議事妨害を阻止しなければならず、民主党は共和党員少なくとも10人の賛成を得なければならない。
一方、民主主義サミットに招待されなかったロシアと中国は米国のガタガタの民主主義を非難し、サミットを「偽善」と呼んだ。
権威主義を支持する声は弱い民主主義国の中で高まっており、特にアフリカ大陸ではクーデターやクーデター未遂事件が頻発している。
米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターは今週公表した報告書の中で、「人々は民主主義を好むが、民主主義を推進する国家のコミットメントはそれほど強くない」と述べた。また、米国を含む豊かな国でさえ、軍事政権を支持する人々がいると指摘した。
民主主義・選挙支援国際研究所(IDEA)も年次報告書の中で、「民主主義国は過去10年で最悪の後退に直面している」と述べた。米国はブラジルやインドなどと共に、後退国にリスト入りした。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8日、ウクライナ東部で進行中の問題について、「東部地域へのNATO軍の展開禁止と、ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証を求める」と述べ、米国を強くけん制した。
バイデン大統領はロシアがウクライナに侵攻したとしても米兵を派遣するつもりはないと主張しているが、民主主義サミットに参加するウクライナは米国に支援を求めている。
ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。
その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側諸国とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。