ギリシャ北部で農家によるデモ拡大、高速道路や国境検問所を占拠
この抗議行動は週末から始まり、複数地域で道路封鎖が行われていた。農民たちは高速道路や国道をトラクターで占拠している。
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ギリシャ北部の農家が3日、EU補助金の支払い遅延を理由として、国境付近の主要道路や検問所をトラクターで封鎖し、交通を遮断した。対象となったのは北マケドニア、ブルガリア、トルコに続くルートで、これにより多くの車両が大幅な迂回を余儀なくされた。
この抗議行動は週末から始まり、複数地域で道路封鎖が行われていた。農民たちは高速道路や国道をトラクターで占拠している。
こうした大規模な農民の封鎖行動はギリシャでは珍しくないが、今回のように国境沿いでの大規模な交通遮断は異例の事態とみられている。
今回の騒動の起点となったのは、EUの農業補助金を不正受給する「偽農家」が偽の土地や家畜所有を申請していたというスキャンダルであり、この不正は数年間にわたるものとされている。
これをきっかけに、6月には5人の政府関係者が辞任。補助金を管理していた機関OPEKEPEは閉鎖されている。
当局の調査によると、過去数年間にわたって偽装された土地や家畜を使って補助金が不正取得され、総額は数千万ユーロ規模にのぼる可能性がある。ある報告では、調査の過程で数百人の申請者が偽りの土地・家畜所有を根拠に補助金を受けていたことが判明した。
このため、補助金の支払いは大きく遅れ、多くの正当な農家が資金援助を受けられずに困窮する事態となっている。また、羊やヤギのウイルス性疾病(羊痘)が広がり、多数の家畜が殺処分されたことで、農業セクターは二重の打撃を受けていた。
政府側は農家の要求に対して対話の用意はあると表明しているものの、国境や主要交通路を封鎖するような抗議行動には断固反対する姿勢も示している。
特に港や鉄道拠点を含む交通の要所封鎖は容認できないとし、場合によっては強制排除の可能性にも言及している。
一方で、農家側は「金を盗んだのはごく一部の不正受給者と役人」「真面目に働いてきた農家が罰を受けるのは不公平だ」と強く主張。「このままではやっていけない」という危機感が抗議の背景にある。
封鎖デモを主催した代表のひとりは地元テレビ局のインタビューで、「このまま後回しにされ続けるなら、デモは拡大する」と警告した。
