チェコの億万長者バビシュ氏が首相に返り咲き、右派2党と連立
バビシュ氏は2017年から2021年まで首相を務め、今回4年ぶりの政権復帰となる。
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チェコのバビシュ(Andrej Babis)氏が9日、首相に返り咲いた。バビシュ氏は2017年から2021年まで首相を務め、今回4年ぶりの政権復帰となる。
与党「ANO(不満を持つ市民の行動)」は10月の議会選で議席を伸ばし、議会下院200議席中108議席を確保する連立政権を形成した。連立には反移民を掲げる右派2党が参加。全体で16人の閣僚を擁する内閣が組閣される見込みで、ANOがその半数以上を占める予定だ。
バビシュ氏は長年にわたり、農業や化学、食品など多岐にわたる事業を展開する巨大財閥の実質的な所有者であった。しかし、首相就任にあたって、所有する主要企業を信託に移すことで利益相反の懸念を解消することで合意し、これを条件に就任が認められた。
なお、バビシュ氏は過去にEUの補助金を巡る詐欺疑惑で訴追されており、法的な問題は依然として残っている。
新政権は環境政策や移民政策を中心に、前政権とは異なる路線を示している。特に、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争におけるウクライナ支援に対して慎重な姿勢を示し、これまでチェコが行ってきた軍事・人道支援を見直す可能性がある。
また、EUが推進する環境政策や移民政策にも疑問を呈しており、EUや国際協調の枠組みに対して距離を置く方向への転換が予想されている。
バビシュ氏の復帰は中央ヨーロッパにおけるポピュリズムの潮流を強めるとの見方がある。特に、同様の強硬な姿勢を持つ周辺国との連携が注目されており、地域のEU内バランスにも影響を及ぼすだろう。
国内ではEU補助金詐欺疑惑の再燃や議会での法的免責を巡る議論が続く可能性がある。加えて、今後の閣僚人事や具体的な政策実行を通じて、実際にどのような政権運営が行われるかが焦点となる。
バビシュ新内閣の正式な閣僚構成はこれから発表される。これにより、チェコの外交・経済・社会政策がどのように舵を切るのか、EUや近隣国との関係がどう変化するのか、欧州全体から注目されている。
