◎キプロス政府の統計によると、今年レバノンからキプロスに不法入国した移民は昨年同期比で27倍に激増したという。
キプロス政府は13日、隣国のレバノンからボートで不法入国するシリア難民が急増していることを受け、シリア難民の亡命申請手続きを一時停止すると発表した。
それによると、この措置はEUの執行機関である欧州委員会の方針に基づいており、シリア難民の本国送還に向けた取り組みのひとつだという。
キプロスのフリストドゥリディス(Nikos Christodoulides)大統領は先週、レバノンを訪れ首相らと会談。シリア難民の不法出国を阻止するよう要請していた。
キプロス政府の統計によると、今年レバノンからキプロスに不法入国した移民は昨年同期比で27倍に激増したという。
レバノンの海岸とキプロスは170キロほどしか離れていない。
今年1月1日~4月4日の間にキプロスにボートで到着した移民は約2100人。その大半がレバノンを出港したシリア難民である。昨年の同じ期間ではわずか78人であった。
フリストドゥリディス氏とレバノンのミカティ(Najib Mikati)首相はこの問題について協議。ミカティ氏はEUに対し、資金難にあえぐレバノンに移民を食い止めるために必要な財政支援を行うよう要請した。
レバノン訪問の数日前、フリストドゥリディス氏は欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長と会談。「移民の出航を阻止するためにレバノン当局と交渉するよう個人的に要請した」と明らかにしていた。
昨年キプロスに到着した移民は22年比で37%減少したものの、シリアとレバノンからボートで密航した移民は355%増加。22年の937人から4259人に急増した。