アルメニア首都で警察と群衆が衝突、政府を批判した聖職者が標的に
警察はテロリズム関連の容疑でアジャパヒャン大司教を逮捕する予定であった。
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アルメニアの首都エレバンにある使徒教会で27日、警察と群衆が衝突した。
警察はテロリズム関連の容疑で教会指導者の逮捕を試みたが、現地メディアによると、状況の悪化を避けるため、撤退したという。
ソーシャルメディアで共有された動画には教会の前に集まった群衆が警察と教会の代表を取り囲む様子が映っていた。
警察はテロリズム関連の容疑でアジャパヒャン(Mikael Ajapahyan)大司教を逮捕する予定であった。
当局はアジャパヒャン氏に出頭するよう促していた。
同氏の弁護士は27日午後の声明で、「捜査当局はアジャパヒャン氏が憲法秩序の転覆を公然と呼びかけたとして裁判所に逮捕状を請求した」と述べた。
また弁護士はアジャパヒャン氏が容疑を否認していると付け加えた。
捜査当局は2日前、テロリズム関連の容疑で使徒教会のガルスタニャン(Bagrat Galstanyan)大司教を逮捕し、国家転覆を企てた罪で起訴したと明らかにした。
ガルスタニャン氏は検察庁が主導する調査委員会によって逮捕され、爆破や放火攻撃、電力インフラの破壊、幹線道路で事故を引き起こして交通を麻痺させる計画などを立てた罪に問われている。
ガルスタニャン氏の弁護士はこれらの容疑を「フィクション」と呼び、パシニャン(Nikol Pashinyan)首相が反対派を弾圧していると非難した。
ガルスタニャン氏は「聖なる闘争」と呼ばれる反対運動を率いており、アルメニア政府が昨年、宿敵アゼルバイジャンに係争地ナゴルノカラバフのいくつかの集落の支配権を譲渡し、関係正常化に合意した後、数万人規模の抗議デモを率いた。
ガルスタニャン氏はパシニャン氏に辞任を要求。アゼル政府からナゴルノカラバフを取り戻すよう要求している。
アゼル政府は23年9月、アルメニアの工作員が仕掛けた地雷により兵士2人と民間人4人が死亡したことを受け、ナゴルノカラバフへの「対テロ作戦」を開始。アゼル軍の集中砲火を受けたナゴルノカラバフの反政府勢力はまもなく降伏し、アゼル政府の要求を全面的に受け入れた。
ナゴルノカラバフは国際的にはアゼルの領土とみなされているが、1994年に終結した分離戦争以来、アルメニア政府の支援を受ける反政府勢力の支配下に置かれ、住民の大半はアルメニア人で構成されていた。
アゼル軍の勝利により、30年にわたるアルメニア人の支配に終止符が打たれ、市民約12万人がナゴルノカラバフからアルメニアに逃れた。
地元メディアによると、捜査当局はガルスタニャン氏に近い人物を含む13人も逮捕したという。
当局は一連の家宅捜索で銃器や爆発物など、複数の証拠を押収したとしているが、詳細は明らかにしていない。
アジャパヒャン氏は27日、地元メディアのインタビューで、「私は何も悪いことをしておらず、隠れたこともないし、これからも隠れるつもりはない」と語った。
またアジャパヒャン氏は政府が平和的な抗議デモを弾圧していると非難。「この国の脅威は我々教会ではなく、政府である」と述べた。