◎開通式に先立ち行われたイベントには多くの市民が集まり、徒歩で橋を渡った。
クロアチアで26日、本土と南部ペリェシャツ半島を結ぶペリェシャツ大橋(全長2440m)の開通式が行われた。
開通式に先立ち行われたイベントには多くの市民が集まり、徒歩で橋を渡った。クロアチア国営放送(HRT)によると、式典は夕方終了し、まもなく最初の1台が橋を通過したという。
建設工事の発注者はクロアチア政府で、EUが共同出資した。元請けは道路・鉄道建設大手の中国路橋工程からなるJV(共同企業体)。工事は中国と中東欧協力のモデルになっている。
工事費用は約5億2600万ユーロで、そのうち3億5700万ユーロをEUが負担した。
HRTによると、JVがクロアチア企業と締結した調達契約は1200件以上にのぼり、EUの設計会社18社、建設会社45社、資材や環境関係企業112社が工事に関与したという。
ペリェシャツ大橋はクロアチア本土と南部のペリェシャツ半島を結び、同国で最も重要な観光地である中世の城壁都市ドブロヴニクへのアクセスを容易にする。
HRTは政府高官の話を引用し、開通を「歴史的な日」と報じた。
プレンコビッチ(Andrej Plenkovic)首相もSNSに声明を投稿。工事に関与したすべての企業と関係者に謝意を示した。
旧ユーゴスラビア連邦はクロアチアやボスニアなど6つの共和国の間に国境を設けていなかった。しかし、1990年代初頭の連邦解体により、クロアチアのアドリア海沿岸の2つの地域は分断されてしまった。
そのため、この地域の住民と観光客は移動の都度、国境検問所を通過しなければならず、交通の便が悪くなり、南部地域の住民は孤立感を味わっていた。
クロアチア随一の観光地であるドブロヴニク(ユネスコ世界遺産)は声明で、「橋はこの地域だけでなく、クロアチア全土の観光と産業を活性化させるだろう」と述べた。